SatoshiFujiwara

霊的ボリシェヴィキのSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

霊的ボリシェヴィキ(2017年製作の映画)
3.5
実は高橋洋監督作初見。

キン肉マンならずとも「言葉の意味はよく分からんがとにかくすごい自信だ!」と思わず叫ばずにはいられないこの『霊的ボリシェヴィキ』なる題名のインパクトがどえらいが(数ヶ月前に目にしてしばらくは脳裏にへばりついていた位だ)、観た後も結局この意味は何だかよく分からない(まあ調べりゃ分かるだろうけど)。

で、本作をすげえ怖いと多くの人は言うがそこまで怖くないってのが偽らざる感想である。結局「あの世に触れたことがある」という「ゲスト」と呼ばれる男女たちが1人ずつその体験を語って行くシーンが1番怖くて、それはその語りから(内容のみならず各役者の言い淀み、間、声の揺れ、泳ぐ目線などの微妙な佇まい…)観客が「負への想像力」とでも呼びうる空想を自由に広げられるからだと思われ(鈍重なテンポ感覚もよい)、しかしここにSEとか非現実的な映像が入って来ると途端に陳腐化してしまって怖さが割り引かれてしまう。その手のものを完全に排除して徹底的に語りやショット、編集の工夫による「引きの恐怖」とでも呼ぶようなものが観たかったのだが、まあこれは単なる俺の希望だ。

中では眠れないと言って起き出して来る由紀子(韓英恵)に気味の悪いババア長尾(南谷朝子)が詰め寄るシーンの目の異常な光と座り具合、霊媒師の宮路(長宗我部陽子)がいきなり杖でぶん殴るシーン、最後に殺された由紀子が死んでいるのにカッと目を見開いたまま裸足の女が歩くところを見ているように繋げた2カットがそれまでの伏線回収の「総決算」になっていてこれはさすがにおっかない。言うまでもなくボルシェヴィキ党歌斉唱と「ダー、スメルチ!」連呼は笑えます。まとめればビザールなのが好きな人にはおすすめです(まとまってない)。私もなんだかんだで嫌いじゃないです。
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