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ハード・コアのぴーのレビュー・感想・評価

ハード・コア(2018年製作の映画)
3.9
さすが山下監督は信頼できる作家だった…。

「間違ったことを間違ってると言って何が悪いんだ」
曲がったことが大嫌いで、自由に真っ直ぐ生きていたい。
あの右近というキャラが持つ社会不適合性というのは
そっくりそのまま俺が持っているそれであるので、結構ツラいものがあった。
そして左近の指摘通り、一見すると混じり合うはずもなさそうな
自由を求める右近の左翼的人生観と、彼が入れ上げた極右思想は
実は同時に1人の人間の中に存在しうるということ。
それは誰より俺自身が身をもって感じていることでもあり、
かなり批評的なのではないか…
右近と左近って名前からしても、明らかに意識的な設定。
これは原作がかなり気になる。
「民主の皮を被った独善的全体主義」とか、首がもげるほど頷きそう。

漫画の映像化として、やっぱり山下監督の手腕をかなり感じたし、
役者陣もさすがと言う他ないなあ。
人としては山田孝之あんまり好きじゃないけど、演技は文句なしで凄みがある。
シリアス、ユーモアラス、シリアスでユーモラス、
の演じ分けができるって滅多にない人だよなと。

正直、OvallとGotch目当てで観た部分がほとんどだったので、
全く期待せず「一応観とくか」ぐらいの気持ちでしかなかったけど、予想外に良かった。
そして劇伴のベースの音、最高。
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