RIO

花筐/HANAGATAMIのRIOのレビュー・感想・評価

花筐/HANAGATAMI(2017年製作の映画)
5.0
大きな虚無のような幻想曲

春になって桜を見ると必ず思い出す作品
「花筐ーHANAGATAMI」
顔いっぱいに桜の花びらを受ける

大正時代の空気を強く感じる
デフォルメされた色のグラデが大好き
花氷のように美しさが氷に閉じ込められた冷たい色彩

檀一雄の短編小説「花筐」の映画化は
大林宣彦監督の終生の夢だった
カメラの動きが素晴らしい
松の海で松が重なり合って次のシーンへ移る
映画が100倍面白くなる

ガラス戸の柄も素敵
やり過ぎなくらいの月あかりが全身を青く染める
すごく気持ちいいです
薔薇の花びらが一枚落ちたとき
何か手に持っていた物を落としちゃいました
心臓が止まるぐらいドキっとした

ずーっとかかる曲の美しさにも涙する
海の波と音楽が揺れている
何度も身を焦がされて身震いがする

海の描写は三島由紀夫の「潮騒」のようです
監督は吉良君を三島由紀夫とイメージが重なっていたそう

「汚れちまった悲しみ」皆なそれぞれに闘っているのです

何回も作品の中で繰り返される「さよなら」という言葉
命の儚さ 出逢いの短さ
美しいものに触れたいという純粋さがいいなぁ

私は何の役に立つんでしょ
月の女神のみなちゃんはとても可愛いです

自分はまだまだ眠っている
望遠鏡を逆さまに覗いてみる
自分の存在理由

最後には心が伸びやかになります
またこのやさしさに相見えたい
心の底から美しいと思える素晴らしい



ゆきずりの/まぼろしの
花のうたげ/くるしくも
たふとしや


モガリ箱
幾夜
もがらせ
花ニ逢わん

檀一雄
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