花筐/HANAGATAMIの作品情報・感想・評価

「花筐/HANAGATAMI」に投稿された感想・評価

正直、こんなの一回観ただけで感想なんか言えるかい!という映画。
とにかく約3時間の上映時間に夥しい情報量の映像が炸裂する。
ただ、脈絡なくストーリーやエピソードが散らばっているのではなく、強調するところは過剰に強調する。大事なことなので3回言いました、みたいな感じとかこういうものはグルグル回って語ることだ、とか。

そもそもが言語で説明をするために表現している世界ではないので解釈はできるが、説明自体が非常に困難。というのと、説明すると実に陳腐な表現になってしまうジレンマ。

例えば描いているものは戦争なのだが、背景としては出てくるが直接の描写で出てこない。
ただ時代の空気というものがいかに若者を死に向かわせるかということをまさに映像言語的に、雄弁というよりも過剰に語ってくる、という印象。

そのため演出もひとつのテーマを語るための劇的演出というよりは、とにかくひとつの画面に対して執拗に膨大な情報量と、死に隣接するが故のエロスと芸術の接近具合に特化して描いている。

つまり空気として蔓延している「戦争」がジワジワと若者たちを死に至る病として蝕んでいく、若者たちは死を前提にした世界の中で芸術や恋、セックスを総動員で生を躍動させているということ。

恋も芸術も、死を前提にすると切実な生に直結するから貪欲だし、脇目もふらずに手当たり次第。
だからつまりこの映画に描かれているのは「乱行パーティ」なのである。
しかも直接的な乱行ではなくやはり映画的視覚的にイメージされた乱行パーティ。

肉体と精神の芸術を対置させる存在として鵜飼役の満島真之介のカリスマ性、肉体の表現力は壮絶。
若松孝二監督の「自決の日」では三島由紀夫に傾倒する森田必勝役だったが、まさに本作では三島由紀夫を彷彿とさせる拗らせマッチョ。
そして、対局に鎮座する太宰治的佇まいの吉良役の長塚圭史。
それぞれに肉体と精神を浪費しているのは「戦争に殺されるぐらいなら」という想いだ。

その中で適度に鈍感である意味で模倣的、傍観的に生き延びてしまう榊山役の窪塚俊介。
三島にも太宰にもなれなかったからこそ、現代に物語を語り継ぐ宿命を宿したのかもしれない。

常盤貴子も、矢作穂香も、門脇麦も、山崎紘菜も、死んでいく男とたちの中でとてつもなく悲しく寂しい青春を散らす。

1941年12月8日の開戦の時に。
物語においては戦争でみんな死んだ、という思い切りこそ、全てを物語で語り切ろうという大林宣彦監督の映画の力を信頼しきった演出にグッタリする。

こういう映画が単純に増えて欲しい。

前半混乱したけど、中盤からノリノリで観ていた。凄い作品だと思った。
でもね。正直に言えば、よくはわからなかった。
命の煌めきに彩られているのにどうしてこんなにも死の匂いが漂っているのか。
青春の日々と戦争の足音が全く同時に描かれる。
青春映画であり、ホラー映画であり、紛れもなく戦争映画。
そのあまりにも濃口なメッセージ性は下手をするとただ説教臭いだけで終わるが、死を覚悟した者が伝えるとこんなにも凄みを伴えるのかと。
しかし、余命幾ばくも無いとは思えぬ余りにも執拗な美の礼賛には驚いた。そう、単純にエロいのだこの作品は。
なんだあの薬を飲ませるシーンは!
なんだあの満島の肉体は!
なんだあの”接吻”は!
なんなんだあの太ももから滴る血液は!!
エロスとは生の象徴であり生を描くことで死を浮き彫りにする。
一瞬たりとも目を離せない衝撃の数々。確かに受け取りました。
kuge

kugeの感想・評価

-
うん。よく分からない。

戦時中、一歩先の未来で待つ死に向かって生きる少年?たちの話。

向き合いつつ逃避しつつ。

3時間目が離せない離れない。けどうまく掴めぬ。
「命を燃やす」ってこんな感じかな。

満島真之介と常盤貴子が美しすぎることだけは確実。
napolitas

napolitasの感想・評価

4.6
役者も台詞も音楽も絵も全部すごい好きなやつでした。出てるひとみんなエロい(主人公の兄さん以外)。長いけどテンポ良いし綺麗だからずっと見てたいってなりました。女子同士がいちゃついてるの見て泣きそうになったのは初めてでした。
約一年ぶり、2度目の鑑賞。
半年経てばDVD化されるだろう、と油断していたのが甘かった。夏からずっとこの日を待っていました。
2度目の鑑賞というだけあって、前回よりもずいぶん話の内容が理解できた気がする。
あの家に入ってきた世間の情報はただ一つ、号外の小さな紙切れだけ。
誰だって自分らしく生きたい、青春が戦争の消耗品だなんてそんなのまっぴらだ...
さて今のこの平和な!世の中では、誰だって自分らしく生きるという事が実現されているのだろうか?つまりはそれはいつだって、世間の価値観に揺れ動かされてしまうものなのではないのか?などと反発しつつ。
ただわたしの抱く反発心などは他所に、ただただ映像美に圧倒された。本当にすごい。そして音楽。そして思った、DVDになんて収まらないでほしいと。待って待って、待ち続けた先にまたこの映画と再開したい。
あきら

あきらの感想・評価

4.5
「諭されて赦されて清められ」
この言葉がぐっさりと残ってます。


女は悲しい、男はかわいそう。
孤独ゆえに美しく常に闘い続けた男と、断固たる逃亡者。そして傍観者。
月を背負う美奈子は生の象徴だし、女の血と男の非現実。
悪夢みたいな原色、グロテスクな美、そして流れるノスフェラトゥ。
唐突な足のアップとかさ、こうきたらこうくるっていう統合性すっとばしたひっちゃかめっちゃかな演出。
そもそもキャスティング⁉︎
やりたいこと全部ぶっこんできてる感がすごい!
なんかもうすごい!


窪田さんのワザをとらしい童貞くささに笑い、
「美しい男」を体現する満島さんのの鼻筋の説得力に深く頷き、
長塚さん⁉︎え⁉︎長塚さん⁉︎⁉︎⁉︎

常盤さんの円熟味のある美しさを堪能して
HOUSEの時の池上季実子を彷彿とさせる矢作さんに平伏した。ってかめちゃめちゃHOUSE思い出してた。
門脇麦の暗さと山崎紘菜の豆腐屋の娘のありふれ感とかもね。

けどその全部が戦争に塗り込められていくんだっていう、残酷さ
たしかにこれは「戦争映画」だった。直截的な描写こそないのに、妙に肉薄した戦争を感じた。

ほんとなにもかも目が離せなかった。
そしてこの目が離せなさこそ天才の仕事なんだろうね。
大林監督はどこまでも大林監督だわ。すげーわ。


強いて言うなら唐津弁に字幕ほしい。
琴乃

琴乃の感想・評価

3.9
年をとった主人公が最後にすべてを美しい思い出にしちゃうのだけが嫌であとは最高
ひへの

ひへのの感想・評価

4.0
佐賀県が舞台になっているという切っ掛けで観たら思わぬボディーブローを喰らった。
この監督の以前の作品も原作も事前情報のない無知だった私。

ふらりと暇つぶしで入った喫茶店でやばいクスリの混入した水を飲まされてしまった気分。

劇画調?な漫画みたいな映像。
凄い。疲れる。長ぁ。。(3時間あります)けど最後まで見届けなければ永久に迷宮の途中で、その最期の場面で取り残されそうで。怖い。
見入ってしまう。

冒頭の教室でクラスメイト3人のそれぞれの授業の抜け出しかたのシーンが面白かった。
全員気持ち悪い。しかしどこか既視感のある人々。騙し鏡のように問いかけられる。圧縮された密度。三半規管をかき混ぜられたみたいにクラクラした。くどい。目を背けるようなグロいシーンは無いけどトラウマを植え付けてくる系映画だと思いました。
美しいのかおぞましいのか。
愛なのか憎しみなのか。
狂っているのか純真無垢なのか。

おそらく30代以上の俳優たちが17歳の役をやって違和感がない(笑)
この非現実感のなかで鮮烈に印象を残してゆくキャラクター達。

悪夢を見たようだけれど幾つもの確かな現実の場面を重ねたコラージュのような
隙間のない作り込みに圧倒され目が離せなかった。
お疲れ様でした。
大林宣彦監督作品は初めて観たけど、映像が前衛的でびっくりした。
なしこ

なしこの感想・評価

4.0
はじめは独特なコラージュのような背景などビジュアルに入り込みにくかったけど、気がついたら没入していた。
キャストの面々を的確に美しく映していて、各人の映し方を見抜いてるのが観て取れて、惚れ惚れとしてしまった。

窪塚俊介ははじめて見たけども、俗的ではないかっこよさ。眼差しや口元が女性的で素敵。何者だ〜〜〜

エンドロールの厳かな音楽としゃがれた歌声の重なりは印象的。
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