花筐/HANAGATAMIの作品情報・感想・評価・動画配信

「花筐/HANAGATAMI」に投稿された感想・評価

gozaru

gozaruの感想・評価

3.5
こちらは檀一雄の原作が短編なだけに、要素をプラスしなくちゃいけない意味で難しそう。原作を読んだのは随分前だから自分の記憶も朧気だけど、唐津が舞台ではなかったし、これほど戦争について触れてなかったように思う。

でも、味付けとしては好きな感じだった。
戦争への気運が高まる時代の日本を舞台に、アムステルダムに暮らす両親と離れて佐賀県唐津市の叔母の下に身を寄せる榊山俊彦が、同じ屋根の下に暮らし病気を患う可憐な従妹の美那子やその友人、唐津浜大学予科の友人で清廉な美男子の鵜飼や朴訥な青年の吉良らと共に過ごす青春の日々を描いた大林宣彦監督作品です。

「戦争を知る映画人」としての立場から『シネマ・ゲルニカ』を標榜するメッセージ性の強い独創的な自主映画を製作する大林監督による「戦争三部作」の第三弾で、過去と現代が激しく交錯する過去二作とはまた異なり、檀一雄の純文学小説を原作に戦時中の青春そのものを、晩年の大林監督らしい激しく目移りさせられる映像表現で描きます。

戦争は今も昔も一つの外交手段ですが、文明の進歩と共にそのリスクとリターンの釣り合いが取り難いものとなっていて、その要因のひとつに「ここではないどこか」の実現性が増し、個人が国を越える可能性を持ちうる多様性時代の到来があります。世界を放浪した檀一雄による型破りな登場人物達の青春を描くことでそれを表現する一作です。
映像は相変わらず好き。
でも最近の大林監督の作品は苦手です。
「ふたり」「時をかける少女」等の作品は本当に好きですが、この戦争三部作は私の好みではありませんでした。
戦争映画は結構みます、しかし
監督の伝えたい情熱は伝わるのですが…。

 矢作穂香の役ミナが病気で口からデロデロ血を流すのが嫌で…多過ぎ。
もう1つ、犬を殺すシーン、説得力無く唐突、魚と比べるか?
屁理屈文学者にこういう事言う奴いるなあの感。その為に殺さなくても…。

晩年の監督作品、私には好みの作品はあまりなかったけれど、やはり偉大な監督、大好きでした。
Rainbow30

Rainbow30の感想・評価

5.0
2017年12月22日、有楽町スバル座で鑑賞。(18:00~21:00の回)

大林宣彦監督【戦争三部作】の三作目にして、完結作。

一作目『この空の花~長岡花火物語』、二作目『野のなななのか』に通じる作風ではあるものの、更に上回る表現を見せてくれた!

約2時間50分の作品であったが、「もっともっと観ていたい」と思わせられる映画だった。

普通の風景の中に、極彩色を描き、目を見張る至福の時間。
それらは、真っ赤な魚の置物であったり、若い女性に覆いかぶさるようなスクリーンいっぱいの月であったり………。

戦争突入の時代にも拘わらず、真っ赤なロングドレスを着た常盤貴子の美しさは素晴らしい!

戦争三部作と位置付けられた作品であり、太平洋戦争が忍び寄る不気味さを独特の色彩感覚で描いたあたりは凄い!

「軍人たちの行進+日本の旗+提灯」という風景などは、「恐さと極彩色の不思議な組合せ」を感じた。

大林宣彦監督、渾身の「戦争三部作~最終作」であった。

大傑作!
基本的に絵空事感の強い映画はフィクション性に吹っ切れていて好きな方なんだけど、晩年の大林宣彦の作品は毳毳しくてくどくて甘ったるくて胃もたれするから苦手だと改めて思い知る。

この映画を3時間近く通して鑑賞するのは、自分にとってはウェディングケーキを一人で食べ切ること以上の苦行かもしれない。
ih

ihの感想・評価

4.7
凄まじい。
惹かれあって、男は互いの激情で、女は互いの優しさで、殺し合う。戦争。
ryodan

ryodanの感想・評価

3.8
色んな意味でビックリする作品。ビジュアルのインパクトが凄かった。反戦というか嫌戦に近い作品。「お国」のために何かを捧げる、貢献するのが「国民」だとしたら、この作品は「非国民」達の生き方を描いた作品なのかな。しかも望んで「非国民」になった訳でじゃなく、色々な理由で「非国民」にならざる得なかった人達の話。敷かれたレールにすら乗れない彼等にとっては苦痛でしかなかっただろうね。「お飛び!」はもはや「お国のために死んでおいで!」にしか聞こえなかった。狂気の中を生き抜いた主人公こそ結果一番勇気のある人間だった。狂気の中で正気を保つことこそ一番勇敢なのかも知れない。作品のメッセージはかなり伝わって来るものの、映画を作る上で鉄則ともいうべき、各シークエンスのストーリーテリングのラインを反転やらなんやらでメチャクチャにして、なおかつ細かすぎる編集のせいで、台詞が入ってこず見づらい。だから疲れる。あえての演出であるのは百も承知なのですが。既存の映画に慣れてしまった?つーか、それがフツーですよ。ん?待てよ?フツーから逸脱した人達の話なら、このアブノーマルな演出で正解なのか。。う~ん、、さすがです。あっ、昭和初期の純文学的男女間の描き方って相当時代遅れ。ギャップ萌えすらしない。シンデレラすら今の時代とそぐわなくなってきているんだし。disる訳じゃないけどちょっとね。。それ、もう美しくないよ。
orangeloop

orangeloopの感想・評価

5.0
春になって桜を見ると必ず思い出す作品
「花筐ーHANAGATAMI」
顔いっぱいに桜の花びらを受ける

大正時代の空気を強く感じる
デフォルメされた色のグラデが大好き
花氷のように美しさが氷に閉じ込められた冷たい色彩

檀一雄の短編小説「花筐」の映画化は
大林宣彦監督の終生の夢だった
カメラの動きが素晴らしい
松の海で松が重なり合って次のシーンへ移る
映画が100倍面白くなる

ガラス戸の柄も素敵
やり過ぎなくらいの月あかりが全身を青く染める
すごく気持ちいいです
薔薇の花びらが一枚落ちたとき
何か手に持っていた物を落としちゃいました
心臓が止まるぐらいドキっとした

ずーっとかかる曲の美しさにも涙する
海の波と音楽が揺れている
何度も身を焦がされて身震いがする

海の描写は三島由紀夫の「潮騒」のようです
監督は吉良君を三島由紀夫とイメージが重なっていたそう

「汚れちまった悲しみ」皆なそれぞれに闘っているのです

何回も作品の中で繰り返される「さよなら」という言葉
命の儚さ 出逢いの短さ
美しいものに触れたいという純粋さがいいなぁ

私は何の役に立つんでしょ
月の女神のみなちゃんはとても可愛いです

自分はまだまだ眠っている
望遠鏡を逆さまに覗いてみる
自分の存在理由

最後には心が伸びやかになります
またこのやさしさに相見えたい
心の底から美しいと思える素晴らしい
大きな虚無のような幻想曲
一人一人全員の危うさと美しさみたいなのがすごかった。
何に命を燃やすのかって考えた時にそれは本来の若者の人生なら祭りや恋や憧れにであって戦争では絶対にない、ただあの状況下においては「絶対に違う」と否定してみせることにすら命で以て挑まないとならない、っていう苛烈で残酷な現実。しかしそれも全部走馬灯のようになった思い出の中では恐ろしく美しい。
俊彦は誰しもに魅力的なキャラクターなのに、結局見届け人でしかいられず。能楽のワキのようだった。
ずっと観たいと思ってたら、以前観たことある作品だった笑
丸尾末広が好きな人は好きそうな作品
戦時中の男女の青春物語ではあるものの、独特な世界観で、ぽんっ、ぽんっと左右逆転する鏡のようなカメラワーク
目が少し疲れやすいかもしれないが、作品としてはとても面白かった
>|