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花筐/HANAGATAMIのIdeonのレビュー・感想・評価

花筐/HANAGATAMI(2017年製作の映画)
4.0
主人公榊山はアムステルダムで育ったが、単身、唐津の叔母を頼って帰国する。17歳になって、大学予科に通い始めるが、そこには、生命力溢れる鵜飼と死に傾倒する吉良という、対照的な二人がいた。榊山は二人に影響され、「冒険」と称してさまざまな体験をするというお話。
途中まで真面目にストーリーを追っていたが、そのうちどうでも良くなってしまった。余命三カ月を宣告されて、大林宣彦ワールド全開である。夥しい情報量、モンタージュ、光学合成の山、商業映画第1作のハウスと対をなしそうな作品だ。見どころも満載だ。まず、主人公に扮した窪塚俊介が髪を伸ばしたあばれる君にしか見えない。そして、最高に気持ち悪い人物を好演している。吉良を演じた長塚圭史は親父を凌ぐ人相の悪さで、ニヒルを絵に描いたような素晴らしい演技である。大林宣彦ワールドのミューズと化した常盤貴子は安定の怪演。改名して心機一転の矢作穂香と、謎の肌色ウエットスーツを着用しての熱演は必見である。もちろん、戦争反対地元密着三部作としての完成度も高く、見終わった後、唐津くんちの山車の数まで自然と頭に入ってしまうのも素晴らしい。まさにやりたい放題で、こんなに長くて、こんなに訳がわからないのに、全く退屈しないというのは、奇跡としか言いようがない。大林監督、お疲れ様でした。もう、お腹いっぱいです。
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