あぶ

花筐/HANAGATAMIのあぶのレビュー・感想・評価

花筐/HANAGATAMI(2017年製作の映画)
5.0
尾道映画祭にスタッフとして参加した合間に満員のホールの中で邪魔にならないよう三階席の階段に座ってみました。
映像の何処を切り取っても一枚の絵になるような美しさで背景の際立たせ方や、効果や色彩調整、独特な台詞回し、同じカットを何度も入れるような演出がどれも異彩を放っていてそれが大林宣彦監督がおっしゃっていた「僕の映画の中では死者が生きている人よりも生き生きとしている」という言葉を体現しているようでこの数々の演出があったからこそ生きている人と死んでいる人とが曖昧になりかけていたあの時代をこんなにもセンセーショナルに描けたのだと思います。
舞台挨拶の中で大林宣彦監督がおっしゃっていた「僕は尾道を観光客が沢山くる街にしたいんじゃなくて、戦争で死んでいった人が楽しく生きれる街にしたい」という言葉が尾道という街が大好きな自分にとって価値観を変えられる一言でした、古き良い映画の街として今も素晴らしい映画を上映してくださるシネマ尾道や、古民家を改装して作られたゲストハウスや飲食店、最近ではしまなみ海道を楽しむサイクリストの姿も多くみます。そんな今の尾道は週末にはカメラを首に下げた観光客が大勢来て各々思い思いの時間を過ごしています、そういった今の楽しい尾道があるのは大林監督のおっしゃった尾道を日本を守ってくださった先人達がいたお陰で、その事に感謝をする気持ちを持つという事を考えてもいませんでした。
これから大林監督のおっしゃった言葉のように自分も先人もそしてこれからを生きていくこども達にも楽しく過ごせる楽しく生きていける街となっていく尾道にまた訪れたいと思います。
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