ぽかぽか

あみこのぽかぽかのレビュー・感想・評価

あみこ(2017年製作の映画)
5.0
ここには個人的なものしか存在していない。家にいるはずの親も、学校にいるはずの先生も見当たらず、ついに社会からほとんど断絶された狭い世界の中で物語は終わりを迎える。女の加害はなぜ許されるのか、許してしまうのか、実際われわれは最後のあみこのパンチを(ストーキングを)暴力だと(加害だと)認識することなく受け入れることができる。なぜ加害することができるのか。それは「恋」をしたからだ。あなた以外のすべてがどうでもよくなって、あなただけが私の世界のすべてになったとき、そのパンチは(加害は)唯一許される。好きになられた方が悪い、恋をさせた方が悪いのだ。同じく「大衆文化」ではない趣味を持っていると思っていた相手が実はそっち側だった場合、何がその好きを繋ぎ止めるのか、それは「顔」だ。音楽の趣味でも会話の内容でもなく、私たちは相手の顔を見て恋をする。無意識にしろその正体に気付いている山中揺子が偉くて憎い。顔の前で私たちは為す術がないという絶望に気付いたときどうすればいいのか。もうそこには「暴力」しか残っていない。
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