いろどり

謎の天才画家 ヒエロニムス・ボスのいろどりのレビュー・感想・評価

3.5
ヒエロニムス・ボスのシュルレアリスムで奇想天外な感性は好み。今作は三連祭壇画で有名な「快楽の園」を追究したドキュメンタリー。細かいところまでアップで映り、有識者やこの画に魅了された文化人たちが、「あの部分は多分こう描かれているのだと思う」と熱く持論を展開していて面白い。考え抜かれて描かれたのだろうことを出演している人たちは語るが、真相はボスにしかわからないところが神秘的で良い。

ヒエロニムス・ボスも会員だったというオランダで14世紀に創設された聖母マリア兄弟会が発布した最も古い免罪符を初めて見た。ずいぶん大きな紙だった。信仰よりも特権を得るために会員になる人は多かったと思うが、ボスはどうだったのだろう。宗教的には保守だったということだけど、「快楽の園」はかなり大胆で前衛的に見える。それでもキリスト教の教義には反していないらしい。聖職者が教会で説く真実を絵は語っているとか。そうだったの!!

作品の意図がわからないところがボスの画の最大の魅力だと思う。スペインのフェリペ2世からの寵愛を受けていたようだし、ここに出てくる人たちも「わからないけどなんか惹かれる」、「少しでも紐解きたい」という探求心をかき立てられていて、みんなワクワクしているのが伝わってくる。きっとフェリペ2世もワクワクしていたに違いない。まさに人間の想像力に火をつける絵画!

「ファンタスティック・プラネット」の独特の世界は、ヒエロニムス・ボスを思い起こさせる。ヒエロニムス・ボスから影響を受けたアーティストはあらゆる分野でいるのだろう。建物がガウディを想像させると言っている人もいた。ダリもインスピレーションを受けていた。ヒエロニムス・ボスから影響を受けているものを探してみるというのも面白そう。

プラド美術館で実物を見ることができたら感動!日本に遊びに来てくれないかな。
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