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ぼくらと、ぼくらの闇のJIZEのレビュー・感想・評価

ぼくらと、ぼくらの闇(2017年製作の映画)
3.4
友人の不幸な事故死をきっかけに彼らを取り巻く友情が引き裂かれ戻れない時間の概念を考えさせられる。例えれば世界観は「イット・フォローズ」のよう霧がかかるダウナーな寒い雰囲気。序盤の事の発端である引き金を引いてしまうトンでもない場面からどうストーリーが好転するのか期待値を込めて観ていた。がそこに明確な解答はなかった。日本刀が作品のマクガフィンになってるのも独特で入手した経路の説明があれば尚面白かったかも。冒頭で教室に鹿の無惨な死骸が放たれる描写は何かの比喩か。

真の友情とは果たしてなんだろう…普段,蒼い情熱をぶつけあう者たちの関係が突拍子もなく崩壊していく様は狂気の沙汰のようでいて無軌道。特に終盤の畳あげは毒々しさに満ち恐怖した。思春期特有の自我を抑制できない危うさと曖昧な感情の吐露がうまく調和されていた。アメリカ産青春スリラーの最新版としても一服の清涼剤とまではならないが煮えたぎる苦い後味を堪能した。終盤の取っ組み合いは残酷で涙してしまう。本編で"心の闇"に支配された少年たちはどこか無表情でいて生き急いだその感情をずっと寡黙に抑え殺し続けているようだった。
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