とーるさんし

静かなふたりのとーるさんしのレビュー・感想・評価

静かなふたり(2017年製作の映画)
3.9
73分、撮影レナート・ベルタ。仏からまた面白い人が出てきた。手紙の読み上げにアイリスイン・アウト、となると当然トリュフォーを想起するが、そう一筋縄ではいかないところが本作の美点。ただ街頭を歩くだけのショットをこれほど数多く挿入するというのは、見かけによらずかなりのふてぶてしさだ(しかも面白い!)。

単なるヌーヴェルヴァーグのオマージュに留まることなく、カモメの墜落死にクモ、口笛と音楽の突然の同期を織り込む等、中々の大胆さ。病気で臥しているヒロインを捉えたショットの奥で鏡を覗き込む猫の動き、そもそも動物にこれだけの演出ができるというだけで大したものではないか。ベルタにしては弱いかと思ったがランプシェードの映った画はさすがに絶品。

主演女優はなんとユペールの娘らしい。よく見ると確かに似ている。彼女のファッションの七変化も眼を愉しませてくれる。
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