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コストニツェのedamameのレビュー・感想・評価

コストニツェ(1970年製作の映画)
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チェコ留学中、春にクトナー・ホラへ一人で旅しに行ったのを思い出しました。
実際にこの納骨堂にも行きました。
春の日差しが強い日でみな半袖で歩いていたのに、納骨堂の中は(地下ということもあり)ひんやりしていて肌寒かったです。
なんだかカビ臭いような埃っぽいような、古いピアノを開けたときみたいな匂いがしていました。
わたしが行ったのは2018年ですが、装飾は映像のままで、家紋や文字も骨で作られていました。うずたかく天井まで積まれた骨も、まさにあのままでした。
一応kostel kosty(骨の教会)と呼ばれているので、納骨堂兼教会なのでしょう。死者への冒涜なのでは、という気持ちと、人骨でできた教会への畏怖/嫌悪感がこの映画からはひしひしと伝わってきますが、実際にあの大量の骨に囲まれると、10分もすればそういう感情が薄れて、大量の骨が非現実的に思えてきます。アウシュビッツの展示でユダヤ人から奪い取られたメガネの山を見た時も感じましたが、想像を超える大量さは人の感覚を異常にするようです。「一人の死は悲劇、大量の死は統計」なのでしょう。そうした感覚の異常さの常態化がホロコーストに繋がったのかと思うと、納骨堂で大量の人骨を前にわずか十数分で感覚が麻痺してくる自分がとても怖くなりました。
クトナー・ホラは銀鉱山跡(坑道ツアーおすすめ)とか、珍しいギルドの教会とか結構見るところのある街なので、ぜひ機会があれば行ってみてください。
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