りょうた

ネットワークのりょうたのレビュー・感想・評価

ネットワーク(1976年製作の映画)
4.1
UBSテレビのキャスター、ハワード・ビルは人気が低迷してしまい、解雇されてしまう。数字がものを言う世界で、彼の旧友マックス・シューマッハはその世界に疑問を持ち、同様に解雇されてしまう。しかし、これ見よがしに過激な発言をしたハワードに、視聴者は食いつき、数字が一気に回復する。それに目をつけたカリスマ的な存在であるプロデューサー、ダイアナは更に過激な方向へと路線を変更してゆく。

1976年に撮られた作品だが、メディアの本質は今も変わっていない。どれだけ過激にして視聴者を釘付けにするか。スクープとかがまさにそれで、物としての被写体を捉え、踏み台にし、のし上がってゆく。

同じく、シドニー・ルメット監督の『セルピコ』にはこんな話があった。ある王様が治める国に、魔女がやってきて井戸に毒を入れた。それを飲んだ民衆は狂ってしまう。民衆は自らが狂っていることに気付かず、正気である王様が狂ってしまったと錯覚する。地位が怪しくなった王様は、同じように井戸の毒を飲むと、民衆は王様が正気に戻ったと喜ぶ、という話。この作品で言うと、マックスが王様で、最後に残った首脳陣は自分たちが狂っていることに気がつかない。そのことにマックスは苦しむが、セルピコ同様、同調するのではなく、戦ってゆく。
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