このレビューはネタバレを含みます
3.11ムードがまだ漂う3月13日、被災地で鑑賞。
ぽつらぽつらと震災の話をする主人公に、自分の姿を重ねた。雰囲気を壊すから話してはいけないと思う、だけどこぼれてしまう言葉。ずっと胸に残るあの日の波の音。
隙間もないくらいにしがみつき、何度も肌を重ねるふたり。自分がいまここにいること、生きていることを確かめる行為。重ねる度、殻に閉じ込めてしまった心が少しずつ、少しずつ解かされていく。
「8年が杉谷さんを作っている。それでいいじゃないか」という台詞が出てくる。彼女を作っているのもあの日からの7年。それでいいじゃないか。昔なんてもういいのだ。僕は誰なんだ?なんて問わなくてもいい。今の自分が自分。