松瀬研祐

海を駆けるの松瀬研祐のレビュー・感想・評価

海を駆ける(2018年製作の映画)
3.4
映画を基にした小説を読んでから観たので、ある程度の予備知識があった。小説を読まずに観ていたらどういう印象だったろうかと思う。

小説は、海から現れた記憶喪失の男を中心としつつも、その周りの4人の登場人物の独白形式で進む。4人の独白が物語を紡いでいき、進行していく流れがあるので、ある意味では4人それぞれの心情がわかるが、映画はその心情はほぼ語られず出来事だけが進行していく。それはそれでもちろん面白く、深田監督の作品は、受け手にたくさんの余白を用意してくれるので自由度があるのだけど、今回は「淵に立つ」や「さようなら」に比べても自由度が高い印象なので、どのように受け止めるか、受け手によってだいぶ違う印象なのではないか。

個人的には、物語の進行ともまったく関係ないのだけど、日本から死んだ父親の遺骨を海にまくためにやってきた女性が体調を崩している時に寝ていたベッドの横のサイドボードに置かれた青い、とても青い電気スタンドの配色がとても印象的だった。
松瀬研祐

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