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ダブル/フェイスのJIZEのレビュー・感想・評価

ダブル/フェイス(2017年製作の映画)
3.2
ニコラス・ケイジが2人の魔性に翻弄され思惑が交錯する一家内の騒動を描いた静サスペンス映画。主に"代理出産"がストーリーの基軸にある中で憎悪や確執が女同士の関係を熾烈化させていく。序盤から中盤の海外ドラマ風なのぺっとした出来事と会話劇が終盤で猛威を振るう魅せ方は考えれば考えるほど計算的でおぞましい。ベビーシッターが母親の水筒に睡眠薬を忍ばせたり顛末を見越した先を読む展開は真面目に描かれここまでの危険を費やし犯行におよぶ人間の非情な裏側はサスペンス的な旨味が効き隠された"人間の本質(闇)"をフラットに楽しめる。

ただ,終盤で事態が明るみに出るまでの間延びや中弛みがかなりツラいためましてやそれ自体も単調に描かれるのは普遍的な事象を並べただけで拷問である。人間が潜在的に抱え込む他者と比較した際の劣等感をここまで真面目に描かれても正直視野が狭い。社会的底辺の価値観がこの作品ではあまりひっくり返らずドナー云々よりケイティに対して何か最後にゆいいつの"幸福"を描けばもう一つ何か作品内で別の出口が見えたような気がした。ニコラスの冴えない芝居だけは輝きを失っておらず賞賛できる。
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