バナンザ

30年後の同窓会のバナンザのレビュー・感想・評価

30年後の同窓会(2017年製作の映画)
1.2
邦題[Last Flag Flying](最後の国旗掲揚)
イラクで従軍中の息子を失ったドクが遺体を故郷まで運ぶ手伝いを依頼するためベトナム戦争で共に従軍したサルとミューラーのもとを訪れる。
愛国心・栄誉と表現される現実の不条理が描かれる社会派ロードムービー。

普段戦争による負傷者のニュースが流れない日本にすむ人々によっては、ドクが感じる等身大の悲しみは同情すべきものに感じながらも共感できるものではなかった。後頭部から射殺された息子と対面するかどうか判断を仰がれたドクにはいろいろな感情が交錯していたと感じる。21歳まで育てた親として、軍隊に入ることを反対した身として考えることはさまざまであっただろう。

映画が進むにつれてベトナム戦争時代の3人の距離感が現在に戻ってくるような感覚を覚えた。30年たって容姿も違えば性格も変わってくるが、過去の経験によって作られた、人間の中にある変わらない部分が表に現れてくる感覚があった。

「戦場で大切なのは自分の望みや勝利でもない 仲間を守ることそれだけだ」
「人が戦争を作り 戦争が人を作る」
「どの時代にも戦争はある」

大きな目的があると謳いながら戦場に派遣し、死亡したら栄誉とみるべき死だったと説明する政府のウソに対する帰還兵のやるせなさがあった。
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