白波

Visionの白波のレビュー・感想・評価

Vision(2017年製作の映画)
3.3
2018年6月劇場鑑賞
今作は何と言っても河瀬直美とジュリエット・ビノシュの組み合わせでしょう。
何しろ三大映画祭全てで受賞した役者です、どんな化学反応を見せてくれるのか大変興味ありました。
始まるとまず、とにかく息を呑むような自然の美しさに圧倒されます。
それと音ですね。木々や風、それに食事など人の営みの音も圧倒的な美しさでした。
物語はとても抽象的で、その解釈は見た人間に委ねられている作品でした。
つまり「河瀬の色」が大変強く観る人を選ぶ作品だとは思います。
なんで?といったフックがたくさんあり、そのほとんどに明確な説明はありません。
だけど不快なしこりが残るわけでもなく、最後まで森に包まれているような気持ちでした。
期待していたビノシュは演出が抑えめで何だか森の一部のよう。むしろ夏木マリの圧倒的な存在感でしょう、怪演といってよいのではないのでしょうか。
舞台挨拶で数回「何度か観てもらい…」といった言葉を耳にしましたが、確かに何度か観ると変わってくる深みを感じます。
吉野の大自然と、そにに住まう生き物の輪廻を感じる、静かで心地良い作品でした。
白波

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