みおこし

スーサイド・ライブのみおこしのレビュー・感想・評価

スーサイド・ライブ(2017年製作の映画)
3.2
ジョシュ・デュアメル様主演ということでチェック。予告編を観た時はすごく面白そうだなと思ったのですが、トラウマレベルの内容だったのでしばらくレビューも書けませんでした...。

誤って自殺の場面を放映してしまった某テレビ番組の司会者と、プロデューサー陣。本当の「生」の意味とは、を視聴者に悟らせるべく作った'自殺'番組。
まずそもそも自殺できるような環境を意図的に与えている時点でアウトだし、何よりも人が息絶える残酷な描写を全国放送するのも間違いなくNGじゃん!と、ツッコミどころを挙げればキリがありません...。
その一方で、このジャケットから連想させるスプラッターホラーとしての要素は皆無で、真剣に考えさせられる人間ドラマである点には驚きました。

人が死ぬ場面を目にして視聴率を稼ごうという荒っぽい魂胆ではなく、自殺がいかに虚しいものかを伝えるためにこの番組を作った...という前提からも分かるように、本作の主役アダムや、その周りの人物は皆少なからず「死」に対しての葛藤があります。
特に監督も務めたジャンカルロ・エスポジート演じる清掃員のエピソードは、現代アメリカが抱える問題を体現しているようにも見受けられて、決して目を逸らしてはいけない展開だなとも思いました。

直接的にグロいというよりも、精神的にじわじわと襲ってくる嫌な描写が続くので、正直なところ気分が悪くなりました。しかし、こういった残虐なものを見て喜ぶ客層がいるのはまさに現実の話。うなぎ上りの視聴率に喜ぶプロデューサーたちの姿を見ていると、本当にこうした施策がエンタメ業界ではさも当たり前のように行われているんだなと実感して悲しくなりました。
ゲームや映像における残酷描写に影響を受け、凶悪事件が多発している現代社会に、監督はこういったダイレクトな演出を通して警鐘を鳴らしたかったのかも、と自分の中では勝手に結論づけてしまいました(笑)。

あの衝撃のラスト、一応当初の製作陣の思惑が果たされた形になったのかなぁ...。皮肉なエンディングにもまた度肝を抜かれた一本でした!
みおこし

みおこし