AkioSogo

判決、ふたつの希望のAkioSogoのレビュー・感想・評価

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)
4.6
映画館で鑑賞。

レバノンの首都ベイルートで起きた小さな事件。
住宅の補修工事をしていたパレスチナ人のヤーセルと、その住宅に住む
レバノン人のトニーとの間で、
1.トニーの家のバルコニーからこぼれた水がヤーセルにかかる
2.トニーの部屋のバルコニーを補修したいとヤーセルがトニーの部屋に行ったがトニーが断る
3.ヤーセルが勝手に補修していたらトニーがそれをこわし、かっとなったヤーセルがトニーを侮辱。
4.トニーはヤーセルからの謝罪を要求、ヤーセル断る。
5.上司の説得に応じたヤーセルがトニーの経営する自動車工場へ行ったら、シャロンのパレスチナ人排斥演説が流れ、トニーがヤーセルの悪口を言ったことからヤーセルがトニーに腹パン。

トニーがヤーセルを傷害罪で訴えたが、最初はどちらも代理人をつけずに戦い、ヤーセルが無罪。
納得できないトニーが控訴し、双方弁護士をつけて裁判にのぞんたところ、双方の思惑を越えた政治問題化してしまい、どこへ行ってしまうのか……

中東問題は不勉強なもので、映画一本で描写できる範囲を超えると思うのですが、
それでもパレスチナ人に対する鬱憤や不満を抱えこむしかないレバノン人の苦悩が見えて、
トニーが一歩も引かないのもやむなしだなぁと思いました。

お互いが抱える背景を理解した上で、トニーとヤーセルがこの件について
折り合いをつける姿が、かすかな希望なのでしょう。良作でした。
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