判決、ふたつの希望の作品情報・感想・評価・動画配信

判決、ふたつの希望2017年製作の映画)

L'insulte/The Insult

上映日:2018年08月31日

製作国:

上映時間:113分

4.0

あらすじ

「判決、ふたつの希望」に投稿された感想・評価

 出 た よ ! !

 パ レ ス チ ナ 問 題 ! !

ごめんなさい。
日本にいると貴方達の痛みをなかなか解る事が出来なくて。毎度調べては忘れてしまう、ぼんやりした東洋人の僕を許したまへ。

1948年のイスラエル建国により、70万人以上のパレスチナ人が故郷と家を失って、ヨルダン川西岸地区、ガザや、ヨルダン、レバノンなど周辺諸国に逃れた。今やその数、世界中で約560万人。

「故郷への帰還」を切望しながら、70年以上も難民として過ごしている現実。

この作品、根底にあるのはこの問題。

舞台はレバノン。
法廷で争う2人の男。

青コーナー。
自動車修理工場を経営するトニー・ハンナ。彼はクリスチャンで、パレスチナ難民排除を訴えるキリスト教系の政党の献身的なメンバー。

赤コーナー。
街の建物の修繕事業を請け負う業者で、労働監督として働くヤーセル・サラーメ。彼はパレスチナ難民。

最初は些細な行き違いだった—— 。

第1ラウンド。
トニーのベランダから街路に向けて突き出た排水管が違法であると、ヤーセルはトニーに修繕を申し出るが、彼に断られてしまった為、勝手に修繕してしまう。腹を立て、新しく取り付けられた排水管を壊したトニーに対し、ヤーセルは罵声を発してしまう。

第2ラウンド。
雇用主に諭され、トニーの元に謝罪で訪れたヤーセル(←本当は謝りたくない)。しかしトニーは、パレスチナ人を侮辱する言葉を発し、それに激昂したヤーセルはトニーの腹を殴り、肋骨を2本折ってしまう。

人種、思想、歴史を蔑む暴言。
それに対し、咄嗟に抵抗する為の暴力。

果たしてどちらの罪が重いのか。

ほんの小さないざこざが、国家を揺るがす程の裁判沙汰に。

互いの弁護士が父と娘で、親娘対決という構図も面白い。

事の発端が日常的なトラブルなので、民族問題に疎くても十分惹き込むだけの求心力が、この作品にはある。

裁判で争いながらも、その帰り道、車のエンジンがなかなかかからないヤーセルを助けてあげるトニーにはほっこりするけども。

歴史的背景をもっと知っていれば、更に心抉られる作品なのは間違いない。

このどちらかの当事者だったとしたら、
この裁判の行方を冷静に見れただろうか。

最終ラウンド。
トニーにも、誰にも言えない暗い過去があった事が法廷で明かされる。

誰もが傷を負っている。
どちらが善で、どちらが悪だと
断罪するのは難しい。
皆んなが加害者で、皆んなが被害者。

そして迎えた判決の日—— 。
気になる判決結果は、是非ご自身の目で。
複雑な歴史に起因する壮絶な内戦、根深い民族対立に終わりはない ―― 日本人にはとうてい想像つかない世界
ヤーセル、トニー、どちらも心の奥底にあるのは憎悪。
更に物語が進むにつれて明らかになるトニーの残酷な過去。

「忘れぬ事は大切だが、未来に進む事はもっと大切」
エンディングの不器用な邂逅、まさしく希望を目撃した。

このレビューはネタバレを含みます

マリッジストーリー見てても思ったけど、
裁判って一見事件に関係ないこと含めて誇張させて白日の下に晒すから
本当にお互いに精神えぐられるよね😔

些細なケンカが歴史とか人種の問題に発展していくの、面白かったなあ〜〜
やってやられてって続けてても、憎む心が残るだけだな😢
車直して若干和解するシーンが良かった!
い

いの感想・評価

3.5
パレスチナ人とレバノン人が些細なトラブルから喧嘩となり、言ってはいけない決定的な台詞から、国を巻き込む大きな問題、裁判になっていく。

内戦とかでずっとごたついてる国ってことしかわからない無知な私でも楽しめたし、考えさせられる内容だった。

でもやっぱり水をかけたら謝るべきだし、カッとしても殴っちゃダメだし、その人の尊厳を踏み躙るような暴言を吐くのはだめだと思う。
majizi

majiziの感想・評価

4.0
些細な言い争いがきっかけで自分たちのコントロールを超えてしまい、国家問題にまで発展する物語。

舞台はレバノンのベイルート。

キリスト教徒のトニーと、パレスチナ人のヤーセルがアパートのバルコニーでの水漏れをめぐって言い争いを起こすうちに、対立は法的に持ち込まれる。

ヤーセルはパレスチナ難民なので、劣悪な労働条件のもと働いている。

トニーはそんなレバノンにいるパレスチナ難民に対して嫌悪感を持っている。


まったく折れないトニーと、難民であることや自分のやったことが立場的に不利と感じて法廷でもあまり口を割らないヤーセル。

そして法廷での争いも加速し、大きな社会問題になっていく。
まさかの大統領まで登場。

積み重なる歴史と、誰もが被害者にも加害者にもなりうるセンシティブな現在。

子供の頃から異教徒を敵視することを教えるのは間違いだとは思うけれど、そうならざるを得なかった彼らの過酷な経験や環境までは否定出来ないというジレンマ。

この作品の製作後、国家や政党から公開に圧力をかけられたというのは、パレスチナが“加害者”の過去を消したいため。

彼らの中には被害者で居続けることが都合が良いと考える人たちもいるのだろう。
でもそれは歴史を捻じ曲げる行為。

何より公開されて良かったし、邦題のとおり希望が見える作品でした。
ロビン

ロビンの感想・評価

4.2
レバノン映画として初めてアカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされた作品。
人種も宗教も異なるふたりの主人公の間に起きたささいな諍いが、負のスパイラルを巻き起こして裁判沙汰となり、国を揺るがす騒乱にまで発展していく。
とにかく観ごたえのある秀逸な法廷映画。
かなりオススメしてしまう作品!  

裁判にまでなったきっかけは、パレスチナ難民である現場監督のヤーセルが取り付けた排水管を、キリスト教右派政党レバノン軍団の熱烈な支持者で、パレスチナ人に反感を持つトニーがいきなり叩き壊したのに対して、ヤーセルが「クズ野郎」と言ってしまう。
この言葉に怒ったトニーはヤーセルの上司のとこに行き謝罪させろと言う。
渋々上司と謝罪に行くがそこで今度はトニーがヤーセンに「シャロンに抹殺されてればな!」(イスラエル軍がレバノンに侵攻してパレスチナ人の難民キャンプで大虐殺が行われた時に、指揮していたのがイスラエル国防相のアリエル・シャロン)と暴言を吐く。
それに激怒したヤーセンはトニーを殴り肋骨を折る怪我を負わせる。
そこでヤーセンを訴えるところから始まる裁判は控訴審までもつれ、メディアの注目を浴びて政治問題化し、騒乱が巻き起こる。
そんな背景には、1975年から1990年まで続いたレバノン内戦がある。
この内戦の内容を知っておくと、この作品をより楽しめるかなと。

最初トニーの行為がクズ過ぎるから、クズ野郎だと言われても当然だと。
トニーには全く共感できなかったけれど、裁判の中で明かされる事実になんとも言えなくなる。。

刑法228条“過剰防衛でも自制心を妨げるほど激しく動揺した場合その者は無罪とみなされる”このような刑法が存在するのは、お国柄なのか。

劇中トニーの妊娠中の妻は、ベイルート郊外のダムールに引っ越すことを望む。
彼女は「あなたの実家があるし、復興して戻る人も多い。教会も再建されたし」と語る。
しかしながらトニーは、それを頑なに拒むシーンは後々の伏瀬になっていて見事!

トニーの弁護士が裁判で虐殺が行われたダムールの映像を流し終えてからのセリフ「私たちはこの手の映像に慣れてしまったのです。衝撃もない普通のことだが犠牲者やその家族たちに同じことを言えますか」あの映像が衝撃もない普通のことだという現状に言葉を失う。。

【ネタバレ】
  ↓


トニーがヤーセンの車を直すシーンとヤーセンがわざと暴言吐いてトニー殴られて「謝る」と言うシーンは胸アツ!
Yama

Yamaの感想・評価

4.9
めちゃくちゃ面白い。
パレスチナとイスラエルの話は何となく知っているけど、レバノンとパレスチナの関係性って全く知らないので、驚きと発見がある。
些細な事件が国を巻き込んだ大事になっていくまでの流れが完璧。
ラストにかけて争う二人の間に共感が生まれるてくるような演出を織り交ぜていく辺り最高でした。

全編アラビア語
キリスト教徒のレバノン人トニーとパレスチナ難民のヤーセルのちょっとした諍いがエスカレートして訴訟に持ち込まれる
裁判はマスコミに注目されレバノン人とパレスチナ難民の民族間の対立として煽られていく

背景の知識がなくても劇中で丁寧に説明されているのですんなりと理解できる
この作品が世界中の人に観てもらえる素晴らしい映画になった事でこの国の歴史の一遍だけど知ることができてよかった
もちろん法廷ドラマとして大変面白かった
感想としては私たちは同じ誤ちを犯さないためにも歴史を学んでいかないといけないなと思った
レナ

レナの感想・評価

3.9
いい映画だったーー!!!!
文句なしにいい映画だったーー!!!!
全然世界情勢分かってなかったから、見終わった後にめっちゃ調べた。
話の作り方もめちゃくちゃ上手。
辛いけど、観てなかったら後悔する映画。
取っ付きづらくて終わりの方のチャプターから見てしまったけど、この映画を見て良かった。

内戦のトラウマを持つレバノン人とパレスチナ難民のいさかい。見てゆくと、この人は根が優しいんだな、この人は強情だけど頭がよくて真面目なんだなということが伝わり、親近感がわく。そうすると縁遠い国レバノンの深刻な内情と、多くの国にあるヘイトクライムの複雑さが身にしみてくる。
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