スキピオ

スパイダーマン:ファー・フロム・ホームのスキピオのレビュー・感想・評価

4.0
<ヴィランの処理が甘く、沸点を超えず>

いつも書いてるがマーベル作品の一定のクオリティは間違いない。修学旅行で好きな女の子に近づけなくてモヤモヤする甘酸っぱい青春映画感や、とある流行りのガジェットとテクノロジーの使い方も、後半のサプライズにつながっていて、ひねりが効いているのがよかった。アメコミ映画のヴィランのネタなんて出尽くしていると思ったら、ねぇ。

ただ、アメコミ映画って元々一般人で「ヒーローになりたくてもなれなかった」ような捻れ曲がってしまったヴィランが多くて、今回のそのアイデアとお膳立ては上手いと思うんだけど。

うーーん、「結局ブチのめして終わり」ですか?っていう疑問符が残り、自分の中での作品評価の沸点を超えてこなかった。ウルトラマンだってスペシウム光線でぶちのめしてばっかりじゃなくて宇宙に連れ帰ったりしたし。ヒーローと表裏一体のヴィランであるほど、ヒーローからの最期の一言の「救い」だけでもありゃ違うと思うんだけど。それがない。アメコミ映画って「誰でもヒーローになれる」ということを志向していながら、道を踏み外しヴィランになってしまった人には基本的に厳しいよね。

MCUフェイズ3の終わりがエンドゲームではなく今作という大々的な触れ込みも、ストーリー的に思っていたほどではなく、(興収いくら以上だとマーベルスタジオが次回のスパイダーマンにも噛めるとかいう契約らしく)ビジネス的な理由が大半なのかなぁと。