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グレタ GRETAのshinyaのレビュー・感想・評価

グレタ GRETA(2018年製作の映画)
4.0
ほぼ女性だけで展開され、男は仕事か何もしないかの蚊帳の外状態。
母性を利用した異常殺人という目新しさがあった。「ミザリー」などの80.90年代のサイコスリラーものを彷彿とさせる作品。
ユペール様の計画を立てながら即物的な展開に潔さを感じて心地良い。
クッキー作りの◯チョンパとか最高。

ハンガリアンラプソディーNo2やジュリー・ロンドンのWhere Are Youとか雰囲気のある良い音楽が流れてるもんだから、割と安っぽいお話の筈が、少し高貴な作風へと変貌していた。
ただ、音楽だけではなくそれはクロエと、何と言ってもユペール様の崇高たる演技の賜物。
この2人だからこそ纏えた気品が、今作をチープな作品から一個高みへ押し上げているのは間違いないだろう。

最初二人はお互い喪失の心の隙間を埋める関係。
母として子が必要であり、子として母が必要であった2人はお互い母性を求めていた。
擬似母のユペールを箱に閉じ込めたことによって、欲していた母性を封じて外に出た。それは亡き母からの卒業を意味する。
本作は異常者から逃げる話だが、母性を巡る物語でもあるのだ。

スリラーとしても楽しい作品ですが、クロエのガタイならユペール様なんてワンパンで倒せちゃうよ。と常々思っていたのだった。
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