ノラネコの呑んで観るシネマ

ジュリアンのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ジュリアン(2017年製作の映画)
4.1
11歳のジュリアンの孤独な戦い。
両親は離婚調停中だが、「幼い少年には父親との時間が必要だ」というパパの主張が認められてしまい、彼は隔週末になるとイヤイヤながらパパの元で過ごす。
ママとお姉ちゃんをパパの暴力から守るために、新しい家の場所を必死に隠しながら。
なんとも心が痛い話で、パパを嫌いながらも会わざるを得ないジュリアン、新しい生活を始めたいのに未練タラタラのパパに苦しめられるママ、そしてクズっぷりが見事なDVパパ、それぞれの心理を非常に丁寧に紡いで行く。
おそらく世界中のどこにでもある、壊れてしまった悲しい家族のカタチ。
DVパパがとんでもない時間に来た時点で、なぜママがサッサと警察を呼ばないのか焦れったいのだが、ママはまだ心のどこかでパパの良心を信じたかったのかも知れないな。
個人的には暴力使う人って一生変わらないと思うけど、あの泣き落としで情にほだされる人もいるのだろう。
福祉行政、特にDVケースに携わる政治家や役人、司法の関係者にはリアリティあるサンプルとして観てもらいたい作品。
ところで、お姉ちゃんに起こった重大な事件は途中で終わってたけど、アレはいいのだろうか。
まあもう大人だし、自分たちでなんとかするよね。