菩薩

モリのいる場所の菩薩のレビュー・感想・評価

モリのいる場所(2018年製作の映画)
4.4
もしかしたらだが、2018年、最も幸福な映画はこの作品になるかもしれない、とりあえず5月22日現在、暫定一位にしても良いくらいだ。アハハと笑いウーンと唸る、そんな瞬間が何度あった事か。モリのいる場所、モリの森、無限に広がる小さなモリの宇宙、そこには常に生き物が集う。虫、鳥、トカゲ、メダカ、そして人間、種を超えた様々な生物がモリの魅力に惹きつけられ、そして森の息吹に吸い込まれいく。なにかと白黒つけねば気が済まぬ人の世、白黒つければそこには敵と味方が生まれるが、モリの森には一切の敵が存在しない、生きとし生けるもの、その全てがモリの森では平等である。その森の中で30年、モリは静かに生き続けて来た。いやごめん嘘ついた、モリの森に流れる時間が静かと言うだけで、モリの周りは常に生命が放つ活気に満ちている。風が吹き抜け、蝶が舞い、蟻は忙しなく這いずり回り、人々は高らかに笑い声を上げる。もっと生きたい、生きるのが大好きだ、そう呟いたモリの命は97年続き途切れたが、モリはきっと今もどこかで、2度目(もしかしたら3度目、4度目かもしれない)のモリの人生を続けているだろう、モリが4本足で歩いていたのは、おそらく来世への予行練習だ。モリのいる場所、モリの森、モリの宇宙はきっと今もどこかで無限の増殖を続けている。もしかしたらこの世界そのものがモリの宇宙で、その中心には豊かさに満ち満ちたモリがいるのかもしれない。そんな宇宙に飲み込まれてしまえれば、下手は下手なりに、たとえ日陰で生きる者であっても、胸を張って堂々と「生きるのが大好きです。」と言える様になるのかも…しれない。『人生フルーツ』の様なもの想定して行ったら…まさかのドリフにまさかのSF、最高だ!!!
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