Lovina

モリのいる場所のLovinaのレビュー・感想・評価

モリのいる場所(2018年製作の映画)
3.7
30年もの歳月を家の敷地内のみにて過ごし、庭に生息する生き物達を描き続けた画家・熊谷守一と、一番の理解者である妻・秀子の日常を描く静かな作品。
彼等の暮らす家にはひっきりなしに人が訪れるが、それは決してモリが画壇の大家故ではない。
モリの輝く眼差しの先を、人々は出来得る限り同じ目線で見たいと願い、あくまで二人の醸す空気に惹かれてやって来る。

94歳の生涯を閉じるまで生涯現役を貫く偉業が達成出来た理由(わけ)は、彼にとって画業が職業ではなく生きる事、そして生きとし生けるものものへ贈る賛辞であったからだろう。
芸術家達が営むべき、忖度や迎合と無縁の極めて健全な生活を、この作品に見た。
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