Lovinaさんの映画レビュー・感想・評価

Lovina

Lovina

映画(55)
ドラマ(0)
アニメ(0)

異端の鳥(2019年製作の映画)

3.3

ホロコーストから逃れようと試みる少年が行く先々で虐げられ、非力に守っていたアイデンティティの一切を失っていく様が怖ろしい。
その描写はグロテスク且つ時に愉快犯の様であり、物語の主体すら見失わせた。
>>続きを読む

影踏み(2019年製作の映画)

2.0

山崎まさよし主演と言う事で公開当初に観たかった映画を、漸くDVDで鑑賞。
端より主演を貶めようとしているとしか思えぬ作品自体のメインヴィジュアルに関しては残念に思っていたものの、小学生の頃に観た『月と
>>続きを読む

愛を読むひと(2008年製作の映画)

4.5

原作・ベルンハルト・シュリンク著『朗読者』は、余りに私を愉しませ、且つ哀しませた小説だった。
こんな名作にこの春漸く出逢い、その強い余韻から時を程無くして映画も鑑賞。
舞台は未だ戦時色が強く残る195
>>続きを読む

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

4.7

三島由紀夫自決の1年半前に開催された、伝説、否日本史に残る東大全共闘を相手取った討論の全容が映画となった。
没後50年を経て尚、以降生まれ続けた新たな才能を薙ぎ倒し続けてきた感のある文豪。
その在りし
>>続きを読む

キングダム(2019年製作の映画)

3.0

主人公の演技力に辟易。
しかし、豪快に使われたであろう制作費分はすかっとした気がする。(笑)
たまにはこんな映画も良い。

グリーンブック(2018年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

時は1962年。
黒人の天才ピアニスト、ドクター・シャーリーはツアー開催に際し、イタリア人系トニーを運転手兼用心棒として雇用する。
行先は、黒人にとって差別色の強いアメリカ南部だった。
案の定彼は各地
>>続きを読む

セッション(2014年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

名門音楽大学に入学しプロドラマーの道を志すニーマンは、予期せず伝説の鬼教師・フレッチャーが率いるバンドの一員となる。
彼が受け持つレッスンの時間は完璧を求める余りに狂気の体を為し、指導に留まらない心理
>>続きを読む

善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

たった36年前のドイツに、こんな理不尽も極まり無い体制が敷かれていたなんて。
主人公は国家より監視活動を命じられ、出世街道をひた走る様に見える男・ヴィースラー。
彼が監視していた部屋には、劇作家の男・
>>続きを読む

新聞記者(2019年製作の映画)

4.0

政治に明るくない…と言うか滅法弱いので序盤は心に暗雲が立ち込めたが、段々と固い結び目が解ける様に理解が追い付いて一安心した。
(そう言った観客を想定しているのか少々説明臭い台詞が多かったものの、本作に
>>続きを読む

三度目の殺人(2017年製作の映画)

4.0

結末の考察を鑑賞者に委ねられる為、鑑賞後は隣で観ていた恋人に
「どう言う事?」
と訊いてしまった。
これは物語の醍醐味から外れた、禁忌である。
タイトルの意味を知り、独自の考察を持ち続ける事で、それは
>>続きを読む

宮本から君へ(2019年製作の映画)

4.3

メインヴィジュアルやあらすじ、それ等を裏切る重さがあった。
レイプシーンは『怒り』同様トラウマになりそうだ。
池松壮亮と蒼井優は米を噴き髪を振り乱し、芝居と言う名の剣を戦わせる。
恋人同士の設定でこん
>>続きを読む

奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール(2017年製作の映画)

3.0

『Red』で俄かに始まった妻夫木聡ブームから、開拓に近いジャンルをレンタル。
ヒロイン役はもっと顔の可愛いキャスティングが良かった、と始終残念に思っていた。

終盤に突如差し込まれるサスペンス要素に驚
>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.3

「全編ワンカット撮影」の予備知識で、冒頭はストーリーに集中が出来なかった…。
例えば狭い小道を駆けていくシーンは、撮影陣の機材や人の捌き方。
人が撃たれるシーンは、瞬時に蒼褪めた顔色へ変化させる技術。
>>続きを読む

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

舞台は朝鮮戦争真っ只中の1950年代、巨済捕虜収容所。
そこでお上の戦略によって結成されたタップダンス・チーム、その名も『スウィング・キッズ』。

豊か過ぎる個性を持つ若者達が、嘗てプロとして舞台を踏
>>続きを読む

Red(2020年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

演出過多、特に人物描写に於いては。
原作から変更されている点が多く、寂しい部分も少なくない。
特に塔子と鞍田が強烈な引力を以って再会を果たす場面のインパクトは原作から大幅に劣る上、ラストシーンに結末を
>>続きを読む

グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇(2019年製作の映画)

3.5

太宰治原作でなければ観ていなかったであろうテイスト。
しかし時は、和装と洋装の入り乱れた戦後間も無く。
目に楽しく、大幅に脚色されたストーリーや小池栄子のオーバーな芝居も又、愉快だった。

ラストシー
>>続きを読む

モリのいる場所(2018年製作の映画)

3.7

30年もの歳月を家の敷地内のみにて過ごし、庭に生息する生き物達を描き続けた画家・熊谷守一と、一番の理解者である妻・秀子の日常を描く静かな作品。
彼等の暮らす家にはひっきりなしに人が訪れるが、それは決し
>>続きを読む

キャプテン・フィリップス(2013年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

2009年、海賊の頻出するソマリア海域にて…
小さな舟を操るたった3人の海賊達が、丸腰の貨物船占拠を成功させ、人質として船長を捕らえた。
信じられない様で、現実に起こった10年前の事件だ。

映画の方
>>続きを読む

日日是好日(2018年製作の映画)

4.0

二十四節気に則ってシーンが展開される、茶道と言う日常の喧噪から遠きに己を置く事によって、豊かな人生の過ごし方に気付く物語。
大事件や特筆すべき起伏こそ無いものの、もしもそれ等が介入していたとしたら、生
>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.3

恐怖で涙腺を刺激される、なかなかレアな体験をした…。
色々な事件が立て続けに勃発する132分間。
テンポの良さと洒脱さに覆われていた怖ろしさは終盤で突如ベールを切り裂かれたかの如く露呈、あぁ畳み掛けの
>>続きを読む

名探偵ピカチュウ(2019年製作の映画)

4.0

食事をしながら鑑賞する程度で丁度良い、と思いつつ、ピカチュウの可愛さに幾度となく箸を持つ手が止まる…。
可愛いお顔に低い声、これはTED以来のミスマッチであり、癖になるベストマッチ!
初代ポケモンも沢
>>続きを読む

あん(2015年製作の映画)

4.0

樹木希林さん最期の主演作は終始、死さえ春の香りに包まれている様な映画だった。
ハンセン病の元患者であった彼女へ対する心無い噂が蔓延し始め、瞬く間に居場所が追いやられていく筋は予想こそしていなかったもの
>>続きを読む

シネマ歌舞伎 女殺油地獄(2018年製作の映画)

4.7

松本幸四郎✖️市川猿之助と言うこれ以上無い程豪華なタッグは、歌舞伎入門にも良かろう、と鑑賞。
想像を超える狂気に満ち満ち、凄まじい映像が畳み掛ける様に続く。

上映終了後は、狂気と言う点に於いて最も記
>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

ずっとスクリーンから目を離せなかった。
しかし障害者、元い社会的弱者である主人公・アーサーが虐げられるシーンは、直視を躊躇う程胸が潰れる。
殺人者の動機に道理などあってはならないが、彼が同僚から手渡さ
>>続きを読む

人間失格 太宰治と3人の女たち(2019年製作の映画)

4.0

花に溢れた、伊達な映画だった。



私は、太宰を思うといつも涙が出る。
それは彼が辿った数奇な破滅的人生への憐憫ではない、かと言ってあの夜が無ければ完成していたであろう文学を悔やんででもない。
太宰
>>続きを読む

火口のふたり(2019年製作の映画)

2.3

「登場人物は5日後に結婚式を挙げる女性と、かつて恋人だった男性、たった2人」
「彼等が食べて交わるのみ、体の言い分に従って過ごす濃密な5日間」
予備知識は、主にこんな所。
純文学を視覚的に感ぜられる内
>>続きを読む

マイ・ブックショップ(2017年製作の映画)

4.2

映画2本立ての休日、1本目は『マイブックショップ』。



イギリスの、とある排他的な港町。
戦争未亡人のフローレンスは、一軒の古い邸宅を買い取り書店を開店させる。
住民は彼女に冷ややさな目線と風評を
>>続きを読む

>|