R

ジョン・ウィック:パラベラムのRのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2019年のアメリカの作品。

監督はシリーズを1作目から手がけたチャド・スタエルスキ。

あらすじ

不殺の掟があるコンチネンタル・ホテル内で主席連合のサンティーノ(リッカルド・スカマルチョ「名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊」)を殺してしまった伝説の殺し屋ジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス「がんばれ!スーパーペット」)は追放処分及び1400万ドルの懸賞金をかけられてしまう。様々な殺し屋がジョンを狙う中、果たしてジョンは生き残ることができるのか!?

今や、「なめてた相手が殺人マシーンでした映画(©️ギンティ小林)」の中でも多分トップクラスにその手のジャンルをあんまり見たことない人でも知ってるくらい有名であり、キアヌ自身のキャリアにとっても、多分「マトリックス」以来のキャリア最高にハマっているシリーズとなった「ジョン・ウィック」。

その最新作「コンセクエンス」が遂に来週公開!ということで休みの間ちょくちょく過去シリーズを見返して、まだレビューしてない本作もようやくレビューを書く気になったので鑑賞しました。

お話はあらすじの通り、一作目から2作目の始まり方もシームレスだったけど、今作はまさに前作ラストの直後、ジョンが走ってるシーンから始まる。

で、前作でも相撲レスラーやらバイオリン弾きやらが出てきたんだけど、今作では前作ラストでホテル内での殺しという掟破りをしてしまったことで業界を追放処分、加えて懸賞金もかけられてしまったことで周りの全てが敵、まさしく四面楚歌の状況下に陥ってしまう。ジョンが走って逃げる中で振り向けば敵、また敵。ホテルの支配人ウィンストン(イアン・マクシェーン「エルマーのぼうけん」)のせめてもの計らいで与えられた1時間の猶予が刻一刻と迫る中、遂に幕を開けるアクションのつるべうち!!

このシリーズといえば、様々な銃を使ったガンアクションとカンフーアクションの合わせ技、通称「ガン・フー」がキモなわけだが、今作ではジャッキー・チェンもかくやな様々な「フー」が楽しめる!!

まずは、タイムリミットが迫る中、フライングとばかりに行手に立ちはだかる大男アーネスト(ボバン・マリヤノヴィッチ)と図書館で繰り広げられる「ブック・フー」!!分厚い本一つで体格差は今作一の大男の猛攻を防ぎながら、その硬い背表紙を武器に反撃、拳をバンバンと打ち返し、机に本を立てて、アーネストの首をそのままグキッ!!開幕一発目ということもあり、盛大なフィニッシュ!!図書館ではお静かに!!

続いて、骨董品屋に場所を移して、追ってきた数人の殺し屋たちと多対一で狭い縦廊下で行われるのはナイフを使った「ナイ・フー」笑!!もつれあいの末、前後に挟まれる形になっちゃうんだけど、流石のジョン・ウィック、華麗に複数を捌きながら、距離がある相手には投げナイフをビュンビュン投げてグサ!グサ!グサ!投げるナイフ投げるナイフみんなクリティカルヒットでそれだけで別作品の投げナイフの名手かよ!ってくらいのナイフ捌きで敵もたちまちハリネズミみたいにナイフだらけになっちゃうのはウケた。そしてまだ息のある生き残った敵に対してはナイフ…ではなくどでかい斧をぶん投げてのオーバーキル、ぱねぇ!!

それでも敵はまだまだ追ってくる!!馬小屋みたいなところに紛れ込んで続いては繰り出すは馬を使った「ウマ・フー」。馬の絶大な脚力を活かして馬の後尾にいる敵を馬の後ろ足でタタタァン!!正確にはジョンのフーではないんだけど、絶妙なタイミングと敵の位置どり把握でジョンにかかれば、生き物でも武器になるってわけだ!そのまま「ウマ・フー」で使った真っ黒な馬に跨って逃走するんだけど、これがまぁダークスーツに身を包んだジョンがまたがるとまるで「死神」か「オーディン」のようでめちゃくちゃかっこええ!!

で、流石にジョンでもわんこそば形式で次々とやってくる刺客相手にゃ身がもたねぇ!ってわけで、かつての自分の暗殺者としての原点でもある犯罪組織「ルスカ・ロマ」の首領、バレエ劇団を経営しているディレクター(アンジェリカ・ヒューストン「フレンチ・ディスパッチ ザ ・リバティ、カンザス・イブニング・サン別冊」)を頼って一路モロッコのカサブランカへ。

で、そこで再会することになるのは、出ました!ハル・ベリー(「ムーンフォール」)演じる「コンチネンタル・ホテル・モロッコ」の支配人であり、元殺し屋のソフィア!!

この人がどうやらかつてのジョンの仲間か同僚だったらしく、過去にソフィアに助けを求められて前作でも出てきた「誓印」を交わしていたらしいんだけど、今度は俺のことを助けてくれ!ってんで主席連合の更に上の存在である首長(サイード・タグマウイ「インバトル/因縁のファイター」)に謁見するために、その場所を知ってる主席連合のベラーダ(ジェローム・フリン「ゴッホ〜最後の手紙〜」)に会いにいくんだけど…。

まぁ、こいつがやな奴で、ジョンに首長の場所を教える代わりにソフィアが大切にしているわんちゃん1匹くれよ!とほざき出す。で、もちろんそんなの断るソフィアなんだけど、要求に応えなかったソフィアにイラついて、ワンちゃんを撃っちゃう!

で、それまではいやいやジョンについてきたソフィアなんだけど、ここで堪忍袋の緒がプッチン!ジョンの制止も聞かず銃撃戦が幕を開ける(ちなみに撃たれたワンちゃんは防弾チョッキのお陰で無事)。

で、まぁここでのハル・ベリーの銃撃戦の無双っぷりがキアヌに引けを取らないくらいすごいんだけど(どうやら、撮影のために一緒にトレーニングしたとか?)、それよりも何よりも携えてるワンちゃん2匹の活躍っぷり!!ソフィアの「Harry up!!」の声に従って一気呵成に敵に向かって襲い掛かる獰猛っぷりと2匹が同時に対角線上の敵に向かってかぶりつく様とか、ソフィアの背をジャンプ台に遥か上の場所にピョンと飛び乗って攻撃を仕掛けたりと、なんか犬も演者も多分、調教師さんもめちゃくちゃこのために頑張ったんだろうなぁ…という作り手の熱意とワンちゃんが襲っているのと同時並行でソフィアもジョンもそれぞれ戦ってる即席のチームプレイの様式美というかなんというか全てがこのシーンのために神がかり的に熱いシーンとなっていて、間違いなく前半の白眉であり、見返してもシリーズで一番印象的で好きなシーンだった。

その後、ソフィアと別れ(嫌がらせでブクブクと口腔内うがいした水をほれ!と渡すところウケる)、砂漠を彷徨った後、首長なんとか謁見できるんだけど、そこでは生き延びることを条件にジョンを逃すために規則を破ったウィンストンを殺せと命じられる。

で、舞い戻ってのニューヨーク。そこにたどり着くまでの本作のラスボス、ゼロ(マーク・ダカスコス「聖闘士星矢 The Bigining」)率いるバイク集団との「マトリックス」を彷彿とさせる激しいバイクアクションも見応え十分だったんだけど、もちろんウィンストンを殺す気など甚だないジョンと裁定人(アジアケイト・ディロン)と連合に反旗を翻したウィンストンにブチ切れた裁定人がなんとホテルを聖域解除。連合の精鋭集団がホテルに乗り込んで、瞬く間にホテル内が戦場となるシーンがすごい。

ほとんど真っ暗な状況下で緑色に怪しく光るライトをバックに激しい銃撃戦が繰り広げられるんだけど、ここではそれぞれ様々な道具や生き物で戦ってきたジョンによる正真正銘の「ガン・フー」の本領発揮!!

アサルトとピストルを巧みに使いながら、突入してくる敵をバシバシと撃ち殺していく様はもはや名人芸というかお見事という感じなんだけど、ここではそれまで一貫して戦闘描写のなかったウィンストンの頼れるコンシェルジュであるランス・レディック(「ハード・プレイ」)演じるシャロンが大活躍!!ピストルでは最新鋭の防弾には勝てないと選りすぐりのショットガンをジョンと共に携えてる共闘していくんだけど、ジョンのサポートをしつつ、的確で冷静に確実に仕留める様がめちゃくちゃクールでカッコいい!!なんだよ、戦えるんじゃん!!

新作公開を前に、残念ながら演じたランス・レディックはこの世を去ってしまったんだけど、もっと彼の活躍を見たかったなぁ(新作の撮影は終了しているから次の作品までは観れるかも。)。

で、ザコを一通り片付けた後は、全面ガラス張りという最終エリアに相応しい場所で待ち受けるゼロの一派。ここはそれぞれの階層で待ち受ける敵がいるという部分から、間違いなくブルース・リーの「死亡遊戯」オマージュだと思うんだけど、まずは一階はそれなりに強いアジア人2人組。序盤は無駄に周りに飾られたガラスの骸骨のシャレオツなオブジェにガッシャンガッシャンぶっ飛ばされてフルボッコにされるジョンなんだけど、一方の持ってる刀でもう片方の喉元を掻っ切ったりとやはり地力が違いすぎる。最後はそれまでのガラス割りの意趣返しとばかりに敵をガラスに吹っ飛ばしフィニッシュ!!

続いて待ち受けるは、なんと、あのインドネシアの傑作アクション映画「ザ ・レイド」で悪役マッドドッグとキラーマスターを演じたヤヤン・ルヒアン(「スカイライン-逆襲-」)とセセプ・アリフ・ラーマンじゃねぇかよ!!今作ではその名もシノビNo.1とNo.2というなんだそりゃな役名なんだけど、完全にカンフーオタクのキアヌが引っ張ってきただろ、これ笑。

で、ここでは達人2人とジョンによる常人じゃあとても理解できないような高度なバトルが繰り広げられる。ただ、もうここのキアヌの内心きっととっても嬉しいんだろうなぁ…という気持ちがヒシヒシと伝わってくるようで、なんだか見ていて微笑ましくもある。なんとなく舞い上がってる感じもあるし、何よりトドメ刺さないしねw

で、ラストはスキンヘッドに刈り上げたダカスコス演じるゼロ。ここでは全面ガラス張りに加えて、周りのビルの光によってライトアップされた幻想的な空気感の中、でも当人同士は一瞬の予断も許さぬ、まさしく殺し合いであり、一騎討ち。それまでは実はジョンのファンだというキャラクター像もあり、わりとコメディリリーフ的な振る舞いをするんだけど、戦闘では一転殺し屋の顔になってジョンと対峙する。ただ、わりとパワーバランス的には完全にジョンが圧倒しており、それまでの戦いで高みの見物を気取っていたゼロを嘲笑うかの如く終盤では割と余裕で勝利!!流石ジョン、ファンであっても容赦なし!!

で、裁定人もゼロ含めた精鋭がほとんど3人によって壊滅という事態に焦りを感じ、交渉を申し込むんだけど、ここでまさかのウィンストンの寝返りによってジョン死亡。ただ、ウィンストンのことだから、急所は外してあるんだろうなぁと思ったら屋上から落とされたジョンの死体が案の定、消えており、その窮地を救ったのは前作でもなんだかんだ手を貸した地下世界の「キング」バウリー(ローレンス・フィッシュバーン「オールド・ナイヴズ」)。それまでの流れでジョンに手を貸したバウリーもゼロによって切り伏せられていたんだけど、重傷を負いながらも辛くも生きていたってわけで、お互い重傷を負いながらも「どんな気分だ?私は腹が立っている。君もか」のバウリーの問いに対して、全身満身創痍な状態にも関わらずその目だけは連合への復讐を誓う怒りの炎をたぎらせたジョンが「俺もだ。」の一言で終わるラスト痺れるぅー!!

まさに「パラベラム(戦への備えをせよ)」、更なる戦いの火蓋は切って落とされたわけだ!!

つか、改めて見てもめちゃくちゃ続きが気になるラストだよな。

つーわけで1、2と世界観の広がりとアクションの質を格段に上げながら熱狂的なファンを増やしてきたこのシリーズの最新作「コンセクエンス」が22日に公開!!刮目して待て!!
R

R