じゅんふう

サニー/32のじゅんふうのネタバレレビュー・内容・結末

サニー/32(2018年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

リリーフランキー、ピエール瀧という最強タッグが再び実在の事件を元にした映画を白石監督が撮る!となれば凶悪で衝撃を受けた自分としてはかなり期待した作品で、日本で一番悪い奴らでは面白すぎて度肝を抜かれた体験を再び味わいたい一心ですぐさま見てみると、何とも言い難い珍妙な作品で、何とも感想を言いづらい…。一言でまとめると、「どう受け取っていいのかわからない」です。
神経が削がれるようなドキュメンタリックなサスペンスを期待して観たらとんでも偶像バトルロワイヤルだった、というところから始まり、予告では各々の画策と狂気が渦巻いて後味悪めに終わるのかなと思ってたけど、いや、その通りだけどなんか違う…というミスリードばかりを与えられ、いい意味でも悪い意味でも裏切られ続け飽きずに楽しめたは楽しめました。
サイコスリラーを求めて視ると肩すかし食らうが、サスペンスコメディとして観ると許せる箇所ばかりになったりするし、門脇麦さんが出てくるシーンは全部緩慢してた空気を全て引き締めるという作りで、感心させられる。
他の人の感想見て偽サニー部分はわざとチープな作りにしてるんだなということ、そして門脇麦さんの類稀なる仙才鬼才な迫真の演技こそが本物として引き込まれると全てが虚偽に見えてくる構成、なんとも意地の悪いつくりで良いな〜〜とは思います。
白石監督の癖なのかわからないけども、毎回映画的ではない新しい試みのもの凄く露悪的な表現のやり方を組み込んでいて、日本で一番悪い奴らでは潜む狂気と空気感的笑いのバランスがとれていてめちゃくちゃわかりやすいあくどい笑いをノイズなく受け取れたけど、今作はどうなんだそれ?という使い方をしていて、
例えば登場人物が死ぬ時に「○○ 享年 ○○才」とでかく文字がでるやり方は、面白いやり方なのに後半ヒートアップしてドタバタしてきた時には邪魔だな…と思ってしまう。テロップ出てからもピエール瀧一回息吹き返してるし。

題材がいいし、このリリーフランキーとピエール瀧がなんか悪い事しでかすんだろうな〜〜〜!と思うポスターの作りなのに集まった全員が気が狂ってる奴らで、アウトレイジが如く「全員キチガイ」というある意味狂気。
サニーが配信者にぶち切れるシーンではなんか急に切れ出して、カタルシスをまったく感じなかった。そこもうちょっと視聴者側もストレス感じるようなフラストレーション溜めてくれれば、あのキレるシーンで爆発的に加速ついたのにな、と思ったり…。というかカップルの女にボソッと言わせるならもっと扱き使われたり非道な扱い受けたりして重みを持たせてほしかったが…。
あの異様なサニー集団にまったく関係のない余所者のカップルが出てくるところはすごく期待できたのに、彼氏がウキウキで協力し始めたりするのは…。集団内で噛み付き合い始めるところなんかは、浅間山荘事件とか、死体処理だけカップルにさせたりとか、そういう非道な期待をしてしまった自分も悪いとは思います…。

凶悪をアイドル映画にしたら、というコンセプトで観ればよかったのかもしれません。少なくとも自分の期待した味付けではなかったので脳がビックリしているだけだと思いたいです…。
箇所箇所だけ取り出せば凄くいい素材なのに、と残念に思ってしまう。でもこれでいろんな創作欲は湧いたので見てよかったなと思えたり、思えなかったり…。
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