MikiMickle

ハンガリー連続殺人鬼のMikiMickleのレビュー・感想・評価

ハンガリー連続殺人鬼(2016年製作の映画)
3.6
1957年ハンガリー
靴工場で働く女性を痴情のもつれで殺 したとされる男レーティー。曖昧な自白と警察の圧力ゆえに、妹と母の目の前で死刑を言い渡される。後に終身刑となるも、刑務所での過酷な日々が待っていた。
それから7年。
それに類似した事件が多発する……
犯行は全て夜。若い女性たちは、屍姦目的で殺される…

レーティ事件も担当していた刑事と、レーティ冤罪の可能性に気付き探究心に溢れた若き判事。ぶつかりあいながらも双方でこの事件を追うが、全く糸口が見つからない。
判事が7年前の事件に溯ろうとしても、そこには圧力がかかり… 腐敗した警察組織の中で捜査は更に難航していく。
無実を信じるレーティの妹による再審の願いも全く届かない…


実話がベースとなっているこの映画。
事件の真犯人は序盤から登場するのだが、実に普通の男で… 周りに潜む恐怖をしみじみと感じる…
また、この真犯人が〇〇不全であり、殺 して動かぬ女性を使って自らを〇〇させようと四苦八苦している姿が気持悪くてならない…… こんなために殺されるのかという胸糞の悪さ……
しかし、これも現実にある真実……


舞台は、ソヴィエト連邦の支配に対抗した1956年のハンガリー動乱(後にソヴィエトにより沈静化)後の混沌とした社会。
靴工場の看板に光る大きな赤い星がやけに印象的で、この映画は単に殺人事件を描いたものではなく、ソビエトの統治への批判であると思う。
レーティーの冤罪にしても、検事が上司に言われる理不尽な言葉にしても、真犯人にしても、上からの圧力にしても、“自分に都合のよい”政府の縮図のように思える。それがまた恐ろしい。
共産国圏だけでなく、どこの国であっても、そういったものはある。

物語は実に淡々と進むのだが、怖い……何が起こるのかわからない怖さ……水死体のリアルさも、犯人の淡々とした気持ち悪さも…

実話がベースになっているらしいが、調べてみても何も出てこない…
この映画で描かれた事が全て実話だとしたら、こんなに後味の悪いものはない…

派手さはないがジワジワくる怖さがあった。


しかし、実犯人とレーティが激似だった。ハゲ具合も似てる。似ているから冤罪を受けたわけじゃないのに、ほんと、双子かって位そっくりでちょっと頭混乱。
MikiMickle

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