MasaichiYaguchi

きみへの距離、1万キロのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

きみへの距離、1万キロ(2017年製作の映画)
3.8
アメリカから遥か離れた場所の遠隔監視を題材にした作品というと、「ドローン・オブ・ウォー」や「アイ・イン・ザ・スカイ世界一安全な戦場」のような戦争物を思い浮かべてしまうが、同じハイテクでも本作には温もりや優しさがある。
失恋したばかりの主人公ゴードンは、デトロイトにあるオペレータールームから1万キロ離れた北アフリカの砂漠地帯にある石油パイプラインをクモ型ロボットを遠隔操作して監視する警備員。
失恋の痛手を引きずるゴードンは、ある日の遠隔監視中に若くて美しい女性を見付けて惹かれる。
この女性、アユーシャにはカリムという恋人がいるのだが、親が結婚相手として勝手に決めた中年男を無理矢理押しつけていて、彼女は強く反発している。
本作は、先端技術に携わっているゴードンと、親を含めて古い価値観と慣習にがんじがらめになっているアユーシャの2人を対比しながら物語が進められていく。
前カノの裏切りで失恋したゴードンは、純な思いを持つアユーシャの苦境に同情し、何とか助けたいと「Juliet3000」と名付けたクモ型ロボットで一線を越えた行動をとり始めてしまう。
原題の「Eye on Juliet」はゴードンのこの行動からきている。
ゴードンの同情から始まったクモ型ロボットを通しての2人の交流は、やがて思わぬ展開に…
最先端技術と古い価値観の出会いから生まれた純愛は、今までの恋愛物の枠組みを軽く越え、私たちの心に清涼剤のような爽やかさと何とも言えない温もりを残してくれます。