泳ぐマシュマロ

運命は踊るの泳ぐマシュマロのレビュー・感想・評価

運命は踊る(2017年製作の映画)
3.5
いろんなエピソードが散らばっていて、見終わった後どういう気持ちになればいいのかしばらく分からなかった。
スタイリッシュな映像や、緊迫と緩和の対比が好きです。

検問所を通る車に乗る人々の怯えた眼差しや嘲笑。イスラエル兵士として生きるということ、家族が戦場にいるということの緊張感も印象に残ります。

イスラエルの政治、歴史、社会、文化、いずれを語る上でも、あの民族が持つ「トラウマ」や「集合記憶」について考えなくてはならないのだという発見は、私のイスラエル留学中に得た学びの一つ。
試写会後の監督のティーチインによると、この映画においても、トラウマというのはテーマの一つらしい。
ホロコースト生存者二世である父の幼少期の出来事は、ホロコーストという呪縛から逃れ、彼の人生を始めるという決意であった。それでも、イスラエルという国が置かれている状況はそれを完全に許すわけではなく、抑圧の人生を送ってきた父。そしてその父の罪を息子ヨナタンは理解していたのだね。父の罪の代償を息子が払ったことで、残された家族にある種の希望が訪れるというのは皮肉なものです。