ほおづき

パンとバスと2度目のハツコイのほおづきのレビュー・感想・評価

4.0
おいしそうなパンが出てくるおはなしかと思って観てしまったけどちょっと違った。でも結果的にすごくいい作品に出会ってしまった。ヴィレヴァンで見つける掘り出し物のような映画。

まず序盤から主人公が言う「いままで付き合ってきた人たちと、結婚する人って何が違うの?」っていうのが、まさにいつも感じている疑問だったから一気に引きこまれてしまった。けど、、、結局は、好きって気持ちがいつまで続くのかわからなくて結婚に踏み出せない主人公を描く物語で、過去の人を引きずっていて利害関係が一致してるだけの人と結婚する理由はわからない・・・的な、ただの拗らせ女子のおはなしだった。


「好きだった人のこと、つき合わないで嫌いにはなれない。嫌いになる程その人の事知らないから」
「つき合ってても結婚してても、一人の人をずっと好きでいられるのは片想いだから。」

つまりは「思い出って美化されるよね」っていう、いろんなとこで擦られてきた結論に近い感じに落ち着いちゃったから、なんか思ってたのと違ったなぁっていうのが正直な感想。

うーん、そういうことではなかった・・・
過去につき合ってきた人も、結婚する人も、等しく人生の一部をともに歩んだ人なのに、なぜ”適齢期につき合っている”って理由だけで結婚というカタチにしなければいけないのか・・・
ずっと一緒にいたい人がいたら、別に結婚なんて形式にこだわらなくても、ずっと一緒にいればいいじゃんって思う。
子供がいらなければの話だけど。
結婚したところで、お互いの親戚も含めてなんだか人間関係もめんどくさくなるし、子育てなんかで社会から迷惑がられたくもない。学校関係でモメたくもないしデメリットしか感じない。(どっちが拗らせてるんだかw)

ずっと恋愛ごっこしてるのかとか言われるけど「結婚=幸せ」と勘違いしてるのか、結婚してマイホームと子供たちで幸せな家庭っていう、子供の頃から刷り込まれた謎のシキタリによって不幸になっている男女がこんなにも多いのに、なんでそんなに結婚にこだわるんだろう??って思う。
本当はずっと一緒にいれることが重要で、それが幸せなのに。




ぜんっぜん関係ないけど、3代目あんまり詳しくないから分からないんだけど、たぶんダンスしたり普段の服装ならかっこいいんだろうと思う山下健二郎さんという役者さんは、この設定の役には合わなかったような気きがする。
筋肉で張った胸板にぴちぴちのチェックのシャツと斜めがけのカバンが、なんかちょっと運動不足気味でモテなそうな雰囲気出してしまっていて・・・最初の会話の時から、この人、主人公狙いでパン屋に来たんじゃないの?しかも、あざとく飲みに誘ってるのキモって思ってたから、主人公が好きだった人というのがわかってからは(この人はモテる設定の人、この人はモテる設定の人・・・)って脳内変換しながら見るのがちょっと苦痛だった・・・

しかもラストで突然叫び出すのも引いたし、最後のセリフも突然モテないくんに戻ってて引いた・・・


というか、、、意外とディスりレビューになってて自分でびっくりしてるけど・・・この映画はすごく好き。
この映画の良いところは、その繊細な空気感と細やかで気の利いた演出や人物描写。名刺交換のとき指を映すカメラワークや、火事の会話のときにイイこと言ったどや顔の男性をしばらく見てる主人公。そのほかにも些細なしぐさや人物描写の妙なリアルさがすごくよかった作品。

ちょっとこの監督さんが気になってしまった。