すず

カットスロート・ナインのすずのレビュー・感想・評価

カットスロート・ナイン(1972年製作の映画)
4.0
金鉱から囚人を移送するさなか、金塊狙いの山賊の襲撃で馬車を失う。

険しい雪山に7人の極悪な囚人と、そのいずれかに妻を殺された軍曹の父娘が2人。

かの囚人たちを刑務所に送るため、町に向けて過酷な雪山を歩むことになったブラウン軍曹一行であったが、この囚人移送の裏にはとある秘密が隠されていた…。

あるきっかけで残虐性を剥き出しはじめる鎖に繋がれた囚人=〝チェインギャング〟たち。過酷な環境下の運命共同体にして、殺しの臭気で牽制し合い、狡猾な駆け引きに、打算を孕んだ人間模様が展開されていく。

ふと走馬灯が駆けめぐる。それは果たして誠なのか幻なのか。やるかやられるかの果てには、凄惨な死の悲鳴が響き渡る。

過酷な状況下における蛮族どものヒリヒリとしたやり取りに否応なく惹き込まれた。紅一点(娘)に込められた人間的尊厳を示す描写も結果として損なっていくような、正義なき人間の性悪性がグロテスクな亡骸(当時のリアルを感じられる美術表現がまた味わい深い)に示される極悪非道のマカロニウエスタン。
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