よどるふ

IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。のよどるふのレビュー・感想・評価

3.7
〈二十七年前、一度七人はITと対決した、銀のばら玉を武器に。いや、それ以上の武器は、七人の友愛と勇気で結んだ“環”だった。そのときの“約束”にしたがって、彼らはいまここにいる。欠けた“環”を結びなおして、いま一度、ITと向かい合うのだ。町の下を、ITの住み処めざして這い進む。デリーに新しいことが起こるのを信じつつ〉。

以上は、文庫版『IT』全4巻の4巻目の背表紙に書いてある粗筋からの引用。この胸が熱くなるような粗筋の通り、「光と闇の戦い」に終止符が打たれる完結編である。

二部作の映画で観ると、原作の構成がいかに変則的かを改めて感じた。序盤のカップルが暴行を受ける場面は原作だと「デリーの歴史の1ページ」的な印象だったけど、映画では明確に“復活の狼煙”。

『シャイニング』(映画版ではなく原作版の方)でも見られたこの「光と闇の戦い」。個人の抱える問題が人生に影を落とし、その“影”が実体化したかのような怪物との戦い。過去を乗り越える意志、決意、行動、言葉こそがペニーワイズを倒す力となる。

単なる過去回想というよりかは、「デリーへ戻ることでよみがえった記憶」として第1作では描かれなかった幼少期時代のエピソードを挿入し、3時間の長尺ながら飽きることなく観ることができた。キング原作映画としては月末に控えた『ドクター・スリープ』も楽しみ。
よどるふ

よどるふ