このレビューはネタバレを含みます
東京国際映画祭にて。
プロットはよくあるもの。ワケありな流れ者が村に辿り着き短期労働につくが、村も実はワケありで……。村のワケとは何か？ここでホラーなのかサイコスリラーになるのか、トンデモSFに行ってしまうのか、分かれ道なのだけど今回の場合はサイコスリラーかなぁ。（表面的には）
流れ者のイェンスはカジノを襲いお金を強奪した３人組の一人で、ボス的存在。お金を持って潜伏するところを探していた。他の二人にも潜伏してほとぼりが覚めるのを待つよう言ってあったらしい。村は小さな村で、主に農業と乳牛で生計を立てている感じ。若い人もいることはいる。で、イェンスは村の娘のルーシーと一夜を過ごす。
村には行方知れずとなったジョルジュという男性がいるが、ジョルジュの家と犬はルーシーが管理をしている。牛は他の人、畑はまた別の人というように村内で分担している。
で、イェンスは村の人妻たちとジョルジュが浮気をしていたらしいことに気づく。ルーシーとも関係を持っていたらしい。
で村に馴染んだイェンスはルーシーとジョルジュの家で同棲を始めるが、ルーシーはベッドでイェンスをジョルジュと呼ぶ。弟だと言っていたのに実はルーシーの息子だったり、いきなりものすごく家庭的になったルーシーに驚き逃げ出そうとするイェンスだが、ジョルジュの死体を見つけ、村人に捕まってしまう。
目が覚めるとイェンスは村人たちにはジョルジュとして扱われる。
そう、たぶん浮気に気づいた村人が寄ってたかってジョルジュを殺し、ルーシーは精神に異常をきたしたので、村人がルーシーが気に入る第二のジョルジュを探していたのだと推測した。
そうなるとサイコスリラーとしてはイェンスが村から逃げ出すかどうかになってくるわけだが、この映画が面白いところは、イェンスが逃げ出さず村に溶け込んでジョルジュとして生きていくというのが描かれて終わるところなのだ。
これまた別の意味でサイコホラーだ。イェンスにはジョルジュになる葛藤だとかはほとんど見られない。一度捕まってから諦めたのかもしれないが。
そしてラストは屈託なく村に溶け込むイェンスでハッピーエンド大団円なのだ。これは凄い。
だだっ広い畑がよく映るが、それと同時に逃げ場のなさが差し迫ってくる。
なかなかおもしろかった！
