Sinamon

迫り来る嵐のSinamonのレビュー・感想・評価

迫り来る嵐(2017年製作の映画)
4.0
1997年。ユィ・グオウェイは、中国の小さな町の古い国営工場で保安部の警備員をしており、泥棒検挙で実績を上げていた。近所で若い女性の連続殺人事件が起きると、刑事気取りで首を突っ込み始めます。そしてある日犠牲者のひとりに似ている女性に出会い接近するが、事態は思わぬ方向に進んでいくというストーリーです。

なんだか画面が薄暗く気味の悪い雰囲気がずっと続く映画で閉塞感がある映画でした。

この映画はずっと雨が降っていてそれも尋常じゃない量の雨がふりそそいでいて、登場人物が着ている雨合羽も黒いので尚更、画面が暗く感じ終始重たい雰囲気でストーリーは進んでいきます。

降り止まない雨が、事件の痕跡を消してしまい、何かを狂わせていくストーリーは韓国映画の『殺人の追憶』に似ています。

犯人が雨合羽のフードを被っていて最後まで殺人犯の顔を見ることができない点も似ています。

二番煎じになってしまうかなと思ったのですが、ラスト近くなって一気に作品の印象を反転させてしまうストーリーは見事でした。

降り注ぐ雨☔️、泥濘みだらけの道、工場🏭️から出る煙、真っ赤に燃える炎🔥、工場🏭️から鳴り響く音などとても印象深くこの映画は明るい場面が一つも出てこないのでそれも印象に残る映画でした。

ラストも静かに雪❄️が降ってきて主人公のユィ・グオウェイはこれからどうなるんだろうと染々思う映画でした。

1990年代から2000年代にかけての中国は高度成長期にあたり、その間に香港が中国に返還されてもいます。
この映画は1997年の中国の地方都市が舞台なので、地方都市で取り残された人々の事を考えて監督さんはこの時代設定にしたのではないのかなと思いました。

ドン・ユエ監督はこの映画が長編処女作なのですが、演出力と手腕に拍手です👏
次の作品も凄く楽しみです。

犯人逮捕への執着や泥臭い表情の演技が素晴らしく、主人公のキャラクターに実在感を与えていたドアン・イーホンさんの熱演にも拍手でした👏

中国のサスペンス映画も面白いと気づかせてくれた映画なのでおすすめ🎬️👍️
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