とうがらし

歌行燈のとうがらしのレビュー・感想・評価

歌行燈(1943年製作の映画)
4.0
泉鏡花の小説を成瀬巳喜男監督が映画化。
能がめちゃくちゃかっこいい!
成瀬巳喜男監督の最高傑作か!?
成瀬の後期作品に目立つ、女々しいメロドラマは、多少あるが気にならない。

前半の喜多八と源三郎の関係は「鶴八鶴次郎」を彷彿とさせる。
喜多八が、マウント合戦の末、ある人を追いやる流れは、現代に巣くう社会問題と似ている。
後半は、展開がやや強引であったり、説明が多かったり、父親の心変わりがチョロすぎるが…最後の最後に結実する能の共演で、そんなことはどうでも良いと、ねじ伏せてくれる。
あのシーンは、もはや成瀬巳喜男版セッション!
熱い展開に目が潤む。
芸のテンポの話もあったりして、 デイミアン・チャゼル監督ももしかして、この作品を参考にしたんじゃないか?(笑)

冒頭の「一億で背負へ 誉の家と人」を思い出して、はたと気づく。
当時は戦前。軍部の検閲がある1943年。
なるほど、国民総出で頑張ろうという、プロパガンダ的な暗示もあったのかもしれない。
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