Tully

SUNNY 強い気持ち・強い愛のTullyのレビュー・感想・評価

SUNNY 強い気持ち・強い愛(2018年製作の映画)
4.0
大人キャストと若いキャストが入り乱れて踊る大円団は、時を超えて女性たちの人生を讃える賛歌に見えた。時代が違っても、境遇が違っても、誰の上にも平等に時間は流れ、幸も不幸もある。未既婚も子持ち子無しも関係なく、裕福だろうが底辺だろうが皆自分の人生を生きている。あんなに元気だった人が病に倒れることもあるし、あのボロボロだったミレイちゃんが今はとても穏やかな人生を楽しんでいるかもしれない。とにかく時は流れる。10代はまだ何者でもなく若さ以外の何も持っていない、代わりにただ無限のような未来が開けている。40代は何者かになり何かを手にしている一方、選ばなかった道を諦めざるを得ないこともある。でも40代って実はまだまだ若い。何を失っても、人生は続くのだ。女優さんたちが皆よかった。女子高生役、大人役のそれぞれがちょっと似たタイプが選ばれていて、違和感が少ない。また主人公のナミはオリジナルと同じ名前だったりする。それにしても池田エライザちゃん演じる美形の奈々に大人役がいなかったのはなんでだろう?当時と変わらぬ美貌で現れ一気に当時の空気に戻るということだろうか。大人役の中では渡辺直美さんだけちょっと若いが、違和感なく見事だった。そして10代のキャストに混じっても渡辺さんが一番ダンスキレキレ。さすが。ちょっとだけ気になったのは「あの頃の女の子たちはよくも悪くも元気で開けっぴろげだった。それに対して今の女子高生は静かだけれど裏で何してるかわからない」という懐古趣味な偏見。えらく定型的な「俺たちの若い時はやんちゃだけど楽しかったな、それに比べて今時の若いやつはスマホばっかり」という中高年のくだまきのようで、かすかに違和感を感じた。また、これはオリジナルもそうなんだけど、芹香が遺言で旧友たちに金銭的援助をするのって、現実にはどうなんだろう。そりゃ貰えたら助かるだろうけれど、人によって額の多寡が相当違いそうなので、遺恨を残しかねない気もする。まあこの辺りはファンタジーなので追求するのは野暮かもしれない。
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