もち食

SUNNY 強い気持ち・強い愛のもち食のレビュー・感想・評価

SUNNY 強い気持ち・強い愛(2018年製作の映画)
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韓国版未見。
最初のカットの下卑たカットから、ああ大根監督だなあと思う。(是枝監督の「海街ダイアリー」を思い出した。日本人は性別のコレクトネスに無関心という言説はよくあるけれど、あながち間違いではないのかもしれない)
この父権的な撮り方は全編に感じる。男性と女性のリレーションシップというのは意図的に排除されている。また、これだけ羽目外している女性達に対して神話的な処女信仰も求めるのもまさに日本的と言えるかもしれない。もはや梁山泊で、男性に奉仕した女性、もしくは金銭のために体を売った女性は見事にオミットされてて笑った。めちゃくちゃ美しく、清潔なホモソーシャル。システムに何ら邪魔されない時点で、それはもうファンタジーだ。ある種、まあ高校時代というのはそういうもので、我々はそのノスタルジアに浸かることしかできないのだろうか?篠原涼子演じる主人公の発言から、昔を思い出すことで先へ進む可能性もわずかながら本作からは感じないでもないが、、、その先をもう少しは描いて欲しかった。

結局、奈々がなぜ姿を消したのかは分からないし、芹香はKendrick Lamar(ラッパー)ばりに見事に少女時代の仲間達に過多な奉仕をしているし、で、後半のグダりは「こんくらいやれば満足でしょう」という驕りを感じる。普通に泣かせれば満足と思ってるのかもしれない。彼女たちは、何もしないまま結局カリスマに助けられてその後先へ進めるのだろうか。

まあそういった雑きわまりない部分を除けば、俺は号泣しているという、、、。我ながら気が狂っているとしか思えない。だいたい、女性しか登場しないホモソーシャルの中で、広瀬すずがギャルになっていく様子を見る時点でもう気が狂わざるを得ないのだ。もう完全に前述した文章を忘れているとしか思えないのだが、そうでもしないと俺はやっていけないのだ。篠原涼子、広瀬すず、両者は度々私達の仲間内で完全なアイドルのメタファーとして頻出する単語なのだ。大根監督はまさに童貞的で、日本的で、明らかに自分に共通する部分があり、そして彼と自分のもっとも異なる点は、広告的か否か。つまり、使う側と使われる側なのである。俺は大根監督に操作されているので、大根監督は好きになれない。父親殺しの一環である。悔し過ぎ、、、。

キャスティングも、演技も良かったし、笑えました。
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