ちょっと前に出たCasa BRUTUSという雑誌で村上春樹さんがインタビューを受けてて興味あって読んでみた。
内容は音楽のことで、かなり饒舌にオーディオのことや音源のコレクションについて語ってた。
そのインタビューの最後の質問が
「村上さんはこういうインタビューをあまり受けてくれない印象ですが、今回はなぜ引き受けてくれたのですか」というもの。村上氏の答えは
「レコードのことだったから」。
アナログレコードのコレクターは地獄だ。ゴールはなく、永遠に続く。
みうらじゅん氏はボブ・デュランのレコードコレクターとして有名だけれど、デュランのレコードを発見したら「買わなければいけない」ものだそうで、音源が一緒でもジャケのわずかな差違や生産国なんかが違えばそれも購入することになるらしい。
地獄だ。
この映画の主人公はSP盤のコレクター。SP盤というのはわずかな3分程度の音源が録音されているレコード。
昔々のもの。
そのレコードを求めて、今日は東に明日は西に。まだ見ぬレコードを求めて、車を走らせる。
ロックは悪魔の音楽だと言い切り、自分のコレクションは家族であろうが触らせない。
映画はそんなコレクターオヤジの音源自慢が中心だ。
僕はそんなに古い音楽のことは全くわからず(1920年代とか1930年代とかの音楽のことなんかわかるものか!)、ただただ自慢話を聞かされることになるんだけど、これが嫌じゃないんだな。
貴重な音源と、そのレコードを手に入れたときの苦労話。面白い面白い。
偏狭的なコレクターは興味深い。
実際に自分が関わらなければ、だけど。
こんなマニアックな映画ガラガラじゃないかな、と思って夏の日のように暑い日曜日の午後に劇場に上映30分前に出かけていったら、84人定員の劇場で僕がもらった整理番号は81。
その後満員札止めになりました。
みんなコレクターオヤジの自慢話を聞きたいんだね(笑)