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ザ・フライ2/二世誕生のhagubのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・フライ2/二世誕生(1988年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

1は大好きで何度も観てるけど、2は昔子供の頃に見たきりだなと思い視聴。

1が傑作なだけに2は辛い評価をされている印象だったけど今見てるみると真っ当で正当な続編だった。

主人公は1でハエ男になってしまったブランドル博士の息子。前作はHIV問題を投影したラブストーリーだったが、今作でもそれを踏襲するように遺伝子異常の病気を抱えている。
成長速度が早く、頭が天才的に良い主人公。この辺り、アルジャーノンに花束をのような古典SF小説の香りがしてとても良い。画面にこれでもかと映し出されるヘンテコ機械も好物だ。そして再登場するポッドになんだか背筋がぞぞっとする。古くならない素晴らしいデザイン!

転送に失敗して異形となった犬を殺してあげるシーン。子供の頃、意味も分からず不思議な気持ちになったことをよく覚えているが、おっさんになった今観るとめちゃくちゃ哀れで涙腺にくる。あんなチープなのにどうして?と自分でも困惑する。あの頃と同じように足に顎を乗せて眠らせてあげる演出も良かった。

遺伝子異常が発現し始め、自分が実験台であることに気づく主人公。5歳で童貞を捨てたがばっちり監視カメラに収められてしまい怒り狂ってヒロインのベスと逃亡する。この逃亡劇はちょっとかったるいが、モーテルで殺虫ライトの青い光に照らされるほぼ人間ではない主人公のシーンは怖かった。皮膚から飛び出る綿みたいなのをちぎる所作も良か。

研究所に連れ戻され、完全なハエ男に変態した後はムカつく職員を殺して回る。配管の上や通風孔を移動するスタイルはまるでエイリアン。だがこの映画は照明がとても明るいのでハエ男の少しファニーな顔もよく見えて個人的には嬉しい。やっぱり犬には優しいのも微笑ましい。
最後は父親代わりだった社長と一緒にポッドに入り異常な遺伝子を交換して生還。めでたしめでたし。社長はぐちゃぐちゃになって犬の代わりに標本として飼われるやり過ぎ勧善懲悪ラスト。ふっきれててぼくはいいと思う。

自分が想像していたよりも出来が良くて驚き。ただ、とても個人的な映画だった1とは違い、VS企業のようなところに物語の主軸があったため良くも悪くも淡々としていた印象。1によって高いハードルを科せられてしまった可哀想な作品なのかもしれない。
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