YokoGoto

鍵のYokoGotoのレビュー・感想・評価

(1959年製作の映画)
3.7
なんとなく、日本映画chでやってたので録画して鑑賞したが、内容があまりにも渋くて驚く!
本作『鍵』は、谷崎潤一郎の同名の小説を原作とし、1959年(昭和34年)に市川崑監督が映画化した作品。

第13回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。第17回ゴールデングローブ賞(英語版)では、外国語映画賞を受賞。いかにも、カンヌで評価されそうな内容で、個人的にはすごく良かった!ちなみに、配給当時はR18だったようだが、今観ると、まったく過激な描写はなく、今だったらR15にもならないのでは?という感じ。

内容は、両家のご婦人と夫、その娘とその婚約者の4角関係を描いたサスペンス。
純文学が原作ということや、時代背景からしても、この家族たちの描き方は、楚々として一見上品である。言葉遣いや立ち振舞い、いいとこの奥様を演じる京マチ子さんは、ぴったりはまっていた。

一見、上品で貞淑な妻と権威ある古美術鑑定士の夫に、振り回されているようで振り回しているような娘の婚約者役の仲代達矢さん。ミステリアスな医師の雰囲気が、妙なスパイスで映画をしめる。

最初は、これらの家族の群像劇かとおもいきや、だんだんサスペンス調に。
基本的に、冒頭からあやしげな雰囲気を醸し出しているため、最初からぐいぐい引き込まれる感じ。

古い映画なので、多少の抵抗もあるかもしれないが、今観ると、逆に画が新鮮。
画角に余計なものがあまりないし、登場人物のセリフや場面設定にもリアイティが感じされ感情移入しやすい。オチも渋かったし、最後まで見る人を引き込む映画で、すごく良かった。

純文学の世界観を、変な着色無く淡々と描き上げたようなスマートさを感じる。
YokoGoto

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