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あの頃、君を追いかけたのとぽとぽのレビュー・感想・評価

あの頃、君を追いかけた(2018年製作の映画)
2.5
薄っす!機転を効かそうとし過ぎてるセリフのやり取りや説明しすぎなナレーションに代表されるように、"幼稚"というには賢すぎる目先の器用さと書き手の意図が滲み出ている。「これ絶対"あの頃"=青春の痛みを知る人書いてないでしょ!」という作り手によるスクリーンを越えて伝わるような熱量あるいは映画的強迫観念の皆無さが鼻につく仕上がり。よって作品としては無、右から左にスッとただ流れ去っていくみたいに。確かに可愛いけど確かにアイドル映画ではないかも。けど齋藤飛鳥&松本穂香、と予想外の山田裕貴のヒットな存在感に救われているのは間違いない。冒頭カットから完全にオリジナル版と同じようなカット割りとかで行くのかと思ったら所々のローカライズの上手さとか目先の器用さが心に引っ掛かることなくサッと後腐れなくすり抜けていく。テーマの割に気軽に見られてしまう無害さは、オリジナル版と違って7人組全員が人生を思い通りに成功していたラスト然りギデンズ・コーや日本版の作り手が意識したものなのかなと疑問符を覚えた。だって人生成功している人より挫折を知って理想と現実の狭間で揺れて揉まれた人のほうが青春の一頁に思いを馳せませんかね!立ち止まり振り返る瞬間を思い出してみてほしいものだ。全員のその後というか今がリアルじゃなさすぎる謎の夢物語感がフィクション過ぎて本作の本来持つべきテーマから乖離してズレズレ別物。甘い、人生舐めんな!一見高カロリーそうな言動や随所に配された不自然なほど器用なセリフのやり取りにも、映画館内でも驚くほど笑い声が聞こえなかった。寄りの画の多さはフレッシュな出演者、とりわけ齋藤飛鳥&松本穂香や小っ恥ずかしいほどちゃんと弾けて主演している山田裕貴などの魅力を捉えるには充分だったけど、そこに至るところ、あるいはそこからの画の繋がりに違和感を覚えるときもあった。ダメ邦画ありがち、綺麗なカメラで撮っておけばいいっしょも無理ある時もある。あと、大学時代のデートシーンはオリジナル版と同じ場所=つまり台湾?で撮ったと言っていたけど本編内ではサラッと地元のように入れ込んでいてオイオイと思った。
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