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バナナ・パラダイスのmaiのレビュー・感想・評価

バナナ・パラダイス(1989年製作の映画)
3.8
台湾の暗さを帯びた歴史を描いたものなのかな…とちょっとした覚悟のもと鑑賞したのですが、歴史やドラマを描きつつも、そこにユーモアを忘れずに入れてくるからこそ最後まで引き込まれて見ることができました。

不器用すぎるほどの主人公は「世渡りが下手」と何気なく共謀となった女性にも言われる始末です。
兄とともにスパイと疑われ…高学歴な人間に成りすまして上手く立ち回ることもできず…何とか生きていけてるけど、不器用さがたたってうまくはいきません。
そんな踏んだり蹴ったりな主人公なのですが、どうにかこうにか人生を繋いでいくのがだんだんと愛おしくなってきます。
歴史に翻弄された人生だけれども、彼也の人生を歩んでいく姿は引き込まれました。ユーモアがあるからこそ、重苦しくないのも良いんですけど、兄が精神を狂わせる姿や主人公が学歴に固執するシーン…そんな「リアル」もしっかりと写しとるからこそ良いなと思いました。
そんな時に挟まる月が陰るシーンだったり…風景が美しいんですよね。田舎の豊かさというか。バナナ畑のシーンなんか圧巻です。

紛れもなく大作です!
観てる時はそうは思わないけれど、観終わった時の満足感は今まで見た映画の中でもかなり大きい方です。
それに、1人の人間の波乱万丈ともいえる半生を描ききってるのに重苦しくもなく、するっと観れる軽さもあるのが良いです。重苦しすぎない、というのが何よりも。
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