マクガフィン

マスカレード・ホテルのマクガフィンのレビュー・感想・評価

マスカレード・ホテル(2019年製作の映画)
3.2
如何にもTVドラマを映画版にアップデートしたような演出が多いが、邦画では中々見れないロビーの豪華なセットが印象的で、その豪華さに反するような行き交う客の仰々しい違和感も効果的に。原作未読。

一々、ホテルへの来客の登場シーンが過剰なこと。TVドラマ的手法で、ほのぼのした浪花節的な挿話の羅列。エピソード的な構成を若干崩し、登場人物とその関連する挿話にタイムラグがある規則性にするために犯人が目星がつくこと。文鎮のホテルマークの伏線がしつこ過ぎること。などのツッコミ所もあるが、豪華な役者達の配置で役柄を覚えやすく、頭の中で整理しやすいのが良い。

刑事とホテルマンの互いの仕事の違いを人物像に反映するバディ展開や対比も効果的で、ぶつかり合うが、互いの短所を補い合い、お互いの長所や仕事を認め合うことで、関係を築き上げる成長譚にも。両者とも仕事熱心で、仕事はできるが恋愛下手な奥深しさも微笑ましく、意外と似たもの同士的な所もあるので、相性も良い。

だが、そもそも、警官がホテルに潜入捜査し、事件になるまで待つ設定が苦しすぎる。劇中のその言い訳セリフも説得力を欠く。犯人の動機も同様で、サスペンスパートがブレたことに。ラストのエピソードは映画的には蛇足で、TVドラマ的な映画へのアップグレードした手法の良い所とそうでない所がでる結果に。

トータルすると作品の核となるバディ的なホテルマンの仕事は健闘するが、それに絡めるドラマパートは及第点で、サスペンスパートは弱い印象に。それでも手堅く纏めて、飽きさせなく一気に見せる面白さが良かった。