よしおスタンダード

娼年のよしおスタンダードのレビュー・感想・評価

娼年(2018年製作の映画)
2.0
No.3681

松坂桃李という"日本最高級の食材"がありながら、

監督(料理人)が、その味付けと盛り付け方に迷っているように見えて、ちょっと乗り切れなかった。

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これだけ「てんこ盛り・全部乗せ」みたいな映画に、「引いても引いてもなお残る繊細な演技」が持ち味の松坂を投入すると、どんな化学反応が起こるか、

という、ある種の試み、として見る分にはおもしろいかもしれない。

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しかし、ならば、松坂にはもっと「削ぎ落とした」演出をつけるべきだ。

監督は彼に、表情で芝居をさせたいのか、セリフ回しなのか、動きなのか、所作なのか、その全部なのか、そのどれでもない何か、なのか、

どうも私には中途半端に映る。

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たとえば、リョウがメグミと2度目に外で会うシーン。

カフェかレストランのようなところで二人は向かい合って座り、会話をしている。

このシーンの松坂を見ているだけでも、彼の「引き出し」の多さに驚くが、

途中で、「ワンカット」だけ、リョウがテーブルの下で両ひざに手を乗せているカットが入る。

「お、顔やセリフだけじゃなく、手の動きとか所作でも芝居してくれるのかな??」と、私としてはワクワクしながら見てたのだが、

結局、リョウの表情以外のカットは、その一回だけ。

「え?? 今のワンカット、何だったの?? 何のために入れたの?」

と拍子抜けしてしまった。

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これはごく一例だし、多分僕の言いたいことを伝えられてる自信はまったくないが、

私には大事な問題なのである。

要は「松坂桃李」という国宝級の俳優を、「演出」という部分で、もっともっと丁寧に扱ってくれ!!

と。