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映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

4.5
【漫画タウンに行ってる場合じゃない!】
みんな、事件だ!コナンやロボットバトル映画に隠れてしまっているクレヨンしんちゃん最新作が超大傑作だったのだ!

正直、予告編では全く気乗りがしなかった。たまたま、基本情報技術者試験5時間レースを追え、なんか映画でも観ようと立ち寄り、時間的に都合が合ったのがクレヨンしんちゃんだった。

脳のリラックスで観たつもりが、ぐいぐいと惹き込まれるではありませんか。まず、オープニング。監督・髙橋渉と出た時点でテンションが上がる。なんたってヒーローの哲学描かせたら天下一品のあの髙橋渉なのだから。

高い期待を抱きつつ観る。これが簡単に期待を超えてくる。今回のテーマはカンフー。髙橋渉は相当な勉強家であり、カンフー映画好きなんだろう。『酔拳』『少林寺三十六房』『片腕カンフー対空飛ぶギロチン』などといった作品の要素をきめ細かく描く。驚いたことに、多くのジャッキーファンを失望させた『カンフー・ヨガ』まで引用し、さらに我々の観たかった景色まで演出しているではあるませんか。そしてちゃんと修行シーンもある。

ただそれだけなら、マニア騙しの小手先芸だが、彼は《クレヨンしんちゃん》ならではの身体的グニャグニャ感を取り込んだ独自の拳法を主軸に話を進めるのだ。一見バカらしいが、カンフー映画の基盤を築いた上でやっているので、しっかりカンフーに見えるのだ。

さらに髙橋渉は、凄まじい伏線回収によるトンデモナイミスリードを発生させ、全身痺れさせる。

最終的に、ヒーローとは何か?といった『シビル・ウォー』に近い正義の哲学講義まで大出血サービスで魅せてくれるのだ。

クレヨンしんちゃんは下品?いやいや、これは教育映画だ。是非お子さんを連れて観に行って欲しい。

そして、漫画タウンに入り浸っているそこのあなた!まんがタウンから飛び出したクレヨンしんちゃんの今を拝むのだ。

未見だが、某ロボットバトル映画やロック様さながらの筋肉アクションを魅せる小学生を観るよりかは遥かに得るものが多いぞ!
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