シカク

夜の大捜査線のシカクのレビュー・感想・評価

夜の大捜査線(1967年製作の映画)
4.6
画面越しに伝わる、60年代の南部の茹だる暑苦しさと人種差別の空気感が纏わりついた時代にトリップした。今見るこの頃のアメリカ映画は生まれる前だけど、消えゆく時代の情景の端くれに懐古の念で見つめている感じがする。国も時代も違うけど、なんか懐かしさがあるんだよなこの時代のアメリカ映画。

警察署員らはじめ町の人達の差別的な眼差し(と言うかもろ差別)で物語に漂う重苦しさを、相反する陽気でお洒落な音楽が和らげたり逆に際立たせたりしていて印象的。クインシー・ジョーンズ素晴らしい!!

ティッブスが酷い事言われたりされたりなんだけれど、はいはいあなた達はそちら側でいつもの常套手段なんですねとあくまでも毅然して堂々としていなすが心の内では、憤懣やるかたない思いを今にも吹きこぼれようかと既所で蓋を被せ鎮めめており常に沸々とめらめらとした表情の演技は神がかっているなと。
この時のアカデミー賞主演男優賞はシドニー・ポワチエではなく、ギレスピー署長を演じたロッド・スタイガーなんだけど確かにこの人もまたいい演技してたなぁ。ギレスピーの家でソファーにくつろぎながら酒を飲む交わし、ギレスピーがティッブスに不眠症には詳しいか?俺は妻も子もない町はあるが邪魔者扱いだと孤独な心情を吐露しお前の方はどうなんだと渋く語り合うシーンは、それまで良好ではなかった関係にほぐれ分かち合う兆しの中それでもなお緊張の糸が張っている様子を、絶妙な感覚で捉えたベストカット。ラストは清々しく心に残る二人の姿が尊い。
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