映画映画しているが、『インファナル・アフェア』から悉く胸糞を抜き取りエンタメ要素を爆上げしたような作品でかなりよき。
「カッチョエエ」をしこたま詰め込んだ潜入ものアクション映画。一度ギアが入れば画面に食いつかせる度マックス。よそ見してたら知らないよ精神で命がけのチェイスをこれでもかとやり散らかす。
街がいくつ吹っ飛べば気が済むんだと神もお手上げ、セットなのかロケなのか、ロケだとしたら、いやセットだとしても、壮大過ぎてめちゃくちゃ気になる現場事情。
カッチョエエの定義を知り尽くした監督によるしたり顔なカットの満載に、キャストや制作陣も便乗してのドヤ顔が目に浮かぶ。
これは撮ってる本人たちも危険と隣り合わせながらその手応えは凄く快感だっただろうと画面越しに伝わりまくってます。
こんなん一度でも撮れるって、監督、制作陣、キャスト、人生何周分もの冥利に尽きるだろうと羨ましい限りです。
アクション以外は逆にカットが何アングルもスイッチするのに拘りすぎて変に「映画映画」が目立ち過ぎていたが、そういうのも「ノリノリで撮ってるんだなあ」とニヤけさせてくれる。
『インファナル・アフェア』から胸糞シリアスを抜き取っているので、「楽しむ」「イケイケGOGO」路線で発散させてくれる、アクションに徹したエンタメ作品。
それなのに軽くならないのは、主演黄軒の重ためかつ飄々としたキャラクターとその周りを固めるキャストたちのリアルな表情からだろう。
役者、撮影技術、レイアウトセンス、美術、ロケセット、アクション技術、音響、予算全てがコンディションバチバチなブチアゲ作品。
エンドロールの浅めな、仮面ライダーとかに流れそうな音楽とおまけの訓練映像は子どもたちもポテチを放り投げて真似したがりそうなノリで後味も最高。
大人が真剣にごっこしてみたら凄いことになった、みたいなクオリティの高いミッション潜入アクション。