*下に追記あり。(高評価の方はスルー推奨)
カメラを止めるな!というより視聴を諦めるな!だった。
とにかく前半約40分は忍耐。あまりのグダグダっぷりに酔っても眠くなってもひたすら耐えるしかない。
途中、なんじゃこりゃ?と思うことが多々あっても、その違和感こそが正解なので、そういうシーンこそしっかり観るべし。
さすればきっと、お帰りの際にはそれなりに納得できましょう。
ただし、個人的には前半に強いられた苦行が想像以上だったので、リピは無し。無理。
<追記・その後も続く大ヒットぶりを眺めて・・・>
個人的には、コメディとしてはベタベタな「裏方あるある」がここまで熱狂的に受けているのが不思議だった。これが高校の文化祭の出し物だったら、その若さと創作への熱意とアイデアに私も諸手を挙げて大絶賛するだろうが・・・ハテ???
しかしその後も続く日本国民総絶賛的な空気が珍しく、作品そのものよりその一連の現象が興味深く思えてきた。
そもそも低予算邦画がここまで話題になり人々がこぞって大箱に詰めかけて観に行くというムーブメントそのものが今の日本の映画シーンになかった奇跡なのだろう。そのうえで、場の空気を読み、公の場では感情を表に出さず冷静に振る舞うことが常識的な大人のふるまいとされる日本社会において、(前評判から)映画館という公の場所で遠慮なく声を出して大爆笑してよいという暗黙の了解を得られ、ここぞとばかりに感情を開放し思うさま場の空気に酔いその高揚感を赤の他人と分かち合うという非日常体験を提供できたこと、それがこれほどの大評判に繋がったのではなかろうか?
ともあれ、この国の多くの人にその今時稀有な体験をもたらしたことは確かで、録画やオンデマンド視聴がこれだけ普及した時代に大衆を映画館へと足を運ばせた功績はとても大きいと思う。
<さらなる追記・・・地上波放映の反響を知って>
金ローで放映されたそうで、映画館で観なかった人々の冷静な反応を知りたくて他のレビューサイトも覗いてみたところ、平然と最低値を付けている人が急に増えていた。(実はDVD発売時に既に顕著な現象だったらしいが)
そして思ったのは、やはり私も含め、話題性に乗せられ映画館で観た者の多くは、その場の大衆の高揚感と同調圧力に飲まれ、絶賛する人々に違和感を感じても「王様は裸じゃないか?」と言い出せなかったのでは・・?
あるいはもっと単純に考えれば、人は誰しも自分がまんまとノセられて金と時間を浪費したとは思いたくないもの。「同じアホなら踊らにゃ損、損」効果の大成功例にも見える。
そんな国民性まで計算に入れ、なおかつSNSでのプロパガンダやクラウドファウンディングなど、大衆操作向きな裏技を最大限使った場合、現代の日本ではそれがどこまで通用し、どんな評価を得られるか?という大掛かりな社会実験だったと思えば、改めて非常に興味深い。
作品そのものの出来云々より、この作品を巡る一連の馬鹿騒ぎを俯瞰することで、この国の大衆がいかに同調圧力に弱く煽られやすいかと、作品の質より動員で評価される残念すぎる邦画業界の現状までもが赤裸々に露呈してしまったという意味では、ぞっとするほど怖い映画だった。